第5章 契約
第63話 龍の巫女
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ても教えて貰えると、非常に有り難いのですが。
「あなたの傍らで眠る必要が有った」
至極、真っ当な理由を述べる雰囲気で短く答える湖の乙女。それに、よくよく考えてみたのなら、相手は神霊。人間そっくりの姿形をしているから人間と同じ倫理感やその他を持って行動して居ると勘違いしていたけど、そんな事はない可能性も有りましたか。
まして、水の精霊に男性格の精霊と言う存在は居ません。つまり、真っ当な生命体とは別の理でこの世界に存在している存在。そんな存在を人間の倫理観で当てはめて考える事自体がナンセンスでしたか。
そして、更に続けて。
「大丈夫。あなたはわたしを抱き寄せただけ。あの頃と同じように」
本当に何もなかったかのように、現状の説明を淡々と行う湖の乙女。
しかし、未だ彼女は俺の左腕を枕にしたまま。そして、やや上目使いに俺を見上げる姿勢を変えようとはしなかった。
まして、彼女の台詞の中にも問題の有る部分が……。
「あの頃と同じように、と言うのは……」
つまり、前世で俺と彼女はそう言う関係だったと言う事なのでしょうか。
俺の言葉に、微かに首肯く湖の乙女。そして、
「あなたは、昔から深い眠りに就くと手近に有る物を抱き寄せる癖が有る」
……と、口調は普段の彼女のままにそう話す湖の乙女。
しかし、その心は先ほどよりも、更なる陽の気を発して居る。それは、明らかに懐かしい思い出を語る者が発する雰囲気。
そしてそれは、妙に甘酸っぱい想いと、遠い昔に過ぎ去って仕舞った、満ち足りていた時を懐かしむ雰囲気を俺に伝えて来て居た。
………………。
成るほど。確かに彼女が言うように、俺は寝ている間に抱き付き癖が有るのは間違い有りません。朝、目覚めた時に、被って居たはずの布団を抱きしめている事は日常茶飯事ですから。
まして、そんな事を知って居る相手は……。
タバサでさえ、知って居るかどうか怪しい事柄だと思いますね。
尚、何時までも同じ布団の中に横に成った状態で、胸元に湖の乙女を抱き寄せたままでの会話では、まるで恋人同士が睦言を交わして居るようで流石に……。取り敢えず、非常にマズイ雰囲気ですので、右腕と俺の生来の能力で彼女の小さな、そしてとても軽い身体を支え、左腕の肘と軽く曲げた左脚で二人の上半身のみを起こす俺。
そうして、二人で正面から正座した形で布団の上に向き合った後、
「ハルファス。出来る事ならば状況の説明を頼めるかな」
このウナギの寝床状のガリア両用艦隊旗艦内に用意された俺の部屋の入り口付近。つまり、俺の背後に立ち、おそらく、この状況に至る経緯をすべて見続けていたハルピュイア族の女王に対して、そう問い掛ける俺。
但し、問い掛けたモノの
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