第5章 契約
第63話 龍の巫女
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も感じないはずです。どう考えても精神を操る相手と感覚の共有を行って居るとは考えられない。そう考えると、無理矢理にでも拘束を引き剥がそうとして当然ですから。
まして、元々、意識を失っている人間を、これ以上、どうやって意識を失わせるのか判らない以上、気絶させる事も無意味……と言うか、俺には不可能です。まして、眠らせるのも当然不可能ですから。
それに、この様な方法を使って俺と湖の乙女を倒す事が可能だと思って居る相手なら良いのですが、そうではない可能性も少なくは有りません。
その場合、この地上から俺と湖の乙女を、妖しい光に彩られた瞳で、茫洋と見つめる暴徒たちは、操っている存在に取っての兵士で有ると同時に、俺達に対する人質でも有ります。
このまま捨て置いた場合、暴徒と化した人々が、散々暴れ回った後に……。
そもそも、この暴徒と化した人々を操っている存在に取って、この人々の身体を護らなければならない理由は存在してはいません。
そして、通常の場合、人間と言うのはその能力の限界を発揮している訳では有りません。
俗に言う火事場の馬鹿力と言う、身体の耐久力の限界を超えた力を発揮させる事が、人体には可能なのですから。
「彼らの精神を揺さぶる」
俺の思考が明確な答えを紡ぎ出す前に、湖の乙女がその冷え切った視線を地上に向けた状態で、そう伝えて来た。
魂を揺さぶる。ほぼ、俺の想像通りの答えを。
但し、
「その魂を揺さぶると言うのは、今日、昼間の内に配置した呪物を触媒にして、この街すべてを覆う事は可能か?」
街の彼方此方から発生した争いの気を感じ取り、更にそう問い掛ける俺。
まして、それだけに異常事態が留まりはしない。上空からは更に多くの風の精霊力が消費される気を感じたのだ。これは、おそらく、このブレストの地に停泊している艦が何らかの理由で出航したと言う事。
それならば……。
先ずは、この街に起きて居る騒動を終息させる。それが最初に行うべき事でしょう。
何が起きるか判りませんが、ここは軍港。そして、風の精霊力が凝縮した風石や、炎の精霊力が凝縮した火石が倉庫には存在して居ます。
それを、何らかの形で悪用されたら、この街すべてが地図から消え去る可能性も有りますから。
俺の問い掛けに対して、小さく首肯いたような気を発した後、
「可能。水は人の精神や心に作用する。あなたの笛の音に合わせて、わたしの歌声を響かせ、昼の間に配置した呪物に共鳴させる」
……と、伝えて来た。
成るほど。そうすると次に必要な手立ては、
「ハルファス。サラマンダー」
俺の呼び掛けに答えて、現界して来る二柱の式神。
ソロモン七十二の魔将第四
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