第一章 【Re:Start】
第一話
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しまうのは何故だろうか。
制服からして相手は一般人。いざとなれば真面目に逃げればいいか、とレイフォンは観念する。
「走られたら追いつけないっての。えーとまず、君、レイフォン・アルセイヌ君?」
「僕はフです」
「腐? 何、腐ってるの?」
「腐ってません。アルセイヌじゃなくアルセイフです」
「ああ、そっち」
どっちだと思ったのだろうこの人は。だが何故だか突っ込んではいけない気がして追求はやめる。しかしこれで少女の探し相手は自分で確定らしい。
相手の制服はレイフォンが着ているものとは違う。ここツェルニでは四年からそれぞれの専攻に移ったはず。だとしたら目の前の相手は四年以上ということだろう。そんなどうでもいい考えがふと頭に浮かぶ。
「時間だし食堂の方にでもいるかと思ったのにいなから探したよ。何、迷ったの? それとも緑眺める趣味? 若いね。自然を好むのはいいと思うよ。けど後にして。私走り回っちゃった。服も勘違いしちゃうしさ。顔覚えてて良かったー」
「すみませんけど、用があるので長引くようでしたら……」
まだ大丈夫だと思うが、二人を待たせることになってしまう。生憎悠長に時間をとっている暇はない。遠まわしにそう伝えると女生徒は大丈夫だと手を振る。
「話があってさ、すぐ済むから大丈夫大丈夫。行きたい場所があるなら案内するよ?」
「そもそも何の話が……」
「うーん、それは来てのお楽しみ。って言いたいけど言ったほうがいいよね。ほんとすぐ済むし全然怪しくないから」
そう言って女生徒は胸ポケットから小さな四角いものを出す。生徒手帳だ。開かれたページには女生徒の顔と名前、それと『生徒会』の文字が書かれている。思わず写真と目の前の本人を見比べてしまう。
「生徒会役員のレヴィ・スコールです。申請書類にちょっとした不備がありましたので確認を要請します。……これで身分証明は済んだよね。じゃあ行こう」
腕を捕まれて引っ張られそうになり、レイフォンは一瞬踏みとどまる。動かないレイフォンに不思議そうな視線をレヴィは向ける。
「……っ」
「何、どうしたの怖い顔して。大丈夫、ちょっとお話するだけだから。生徒会からの呼び出しには取り敢えず行っといたほうが楽だよ。怪しくないからさ」
怪しさ、ではない。レイフォンの足を止めているのは。遅れそうな約束でもない。それは恐怖に似た感情だ。
生徒会という、学園都市を仕切る役割の組織。そこからの要請。それが一瞬、グレンダンでの事をレイフォンにフラッシュバックさせた。王宮からの呼び出し、そこからの処罰。そしてそれからの歪んだ周囲の正義感。
だが、とレイフォンは頭を振りかぶってその幻想を払う。ここではそのことなど知られていない。全く関係がない。この呼び出しも、連絡事項
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