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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第一話
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一人らしいが全く関係のない所からこの留学における生活費は出ている。クラリーベルや女王曰く「罰金」みたいなものらしい。らしいが、レイフォンは何のことだか知らないので少し躊躇いがある。
 必要ならどんどん使っていい、と言われたが流石に全く知らない人間の負担を余り増やすような真似はどことなく後ろめたい。そもそもこの留学自体罪を犯した自分に対する温情。余り負担になるようなことは……

「マンション買っちゃいます? マンション」
「いいと思う。二部屋で」
「男女は分けるべきですよね。でもそもそも三部屋で良くないですか?」
「私とレイフォン、あなたで二部屋。同じ家で住んでたしこれが自然」
「はは、デコピン連打しますよ。額出せ額」
「……何やってるんですか二人共?」
 
 つい突っ込んでしまう。どうやら気にするだけ色々と無駄らしい。必要ならお世話になろう、そう思う。
 それにしても、とレイフォンは思う。二人に対して言葉をかけるときどう言えばいいのかまだ悩むのだ。普段からクラリーベルにはやや敬語、アイシャにはタメ口。だから迷い、結果気後れしていつも敬語が出てくる。まあ、どうでもいい悩みなのだが。
 ぐうぅ……とばかりに赤くなった額をさすっているアイシャを横目に見ながら、レイフォンは中心街の方へ歩き続ける。

「取り敢えず不動産とかあったらそこに入りましょう。最初の一日で決まるとも思いませんし、宿をとってもいいもしれません」
「何か慣れてますね」
「まあ、色々あったので……」

 クラリーベルに言われて思い出すのは数年前、ヨルテムに行った時のこと。仕事さがすのに躍起になりすぎた挙句最初の日は野宿したのだ。あれは色々と悲しかった、とレイフォンは思い出す。大人に見つかって逃げ回って噂になりかけたり、活発な少女に興味深そうに遠くから見られたりした。寝るところは大事なのだ。
 だから取り敢えず寝床は確保したかった。高いマンションは御免だが。

「まあマンションは置いとくとして、結構広い部屋が欲しいですよね。器具置きたいですし」
「ですね。何があるのかも後で見回らないと」

 技術の維持、それも命令には含まれている。鍛錬に使う器具は必要だろう。
 孤児院で共用部屋だったレイフォンとしては広い部屋にはちょっと憧れがある。
 いいところがあるといいな。
 そう思いながらレイフォンたちは見つけた不動産屋に入っていった。




 それから数日。いくつか物件を巡り、チラシや伝聞、はては建築科の人にまでたらい回しにされた挙句三箇所が候補に上がった。
 一つ目は倉庫区に近い場所のビル。家賃も安く広いが、周辺環境が悪い。
 二つ目は住居区の高級マンション。周辺環境も良く防音もされ広いが、家賃が高い。
 三つ目は一般的なビル。防音が
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