Episode 3 デリバリー始めました
猛火と愚者の殺意ある交接
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た爆弾に隠蔽能力が無いがために逃走時に撒き散らすぐらいしか使い道のない道具である。
それでもたった一度の攻撃でここまで魔楽器の性能を見切るのはたいした推理力というべきだろう。
だが、少なくとも剣と魔法の世界に生きる戦闘職ならば、敵に魔術師がいる場合やファンタジー特有の大量破壊兵器への傾向と対応はしっかり頭に入っていて当たり前。
理解できないやつは、さっさと淘汰されて生き残れない、とても厳しい世界なのである。
故に、その戦闘のスペシャリストを前にした先ほどのマルの台詞は、まさに致命的なポカと言っていいだろう。
「ヤツを砦の中にいれるな! 距離をとって弓で足止めしろ!! 怪盗殿、ヤツをその楽器の力を全力でやつに向けて放ってくれ!!」
「こ、心得たニャ!!」
状況の好転を図るボイツェフ中隊長の必死の叫びに反応し、マルがその手にある魔楽器を狂ったように掻き鳴らす。
「総員、弓を構え…… 撃て!!」
そして、ゆがんで狂った"猫ふんじゃった"のメロディーを背景にして、戦士と勇者から距離をとった妖精達が一斉にその弓弦を弾いた。
ザァッ……と無数の矢が風を切る音が空に響く。
「はん、その攻撃はすでに見切ってるんだよ!!」
だが戦士は、押し寄せる脅威を前にしても嘲るような笑みを変えることなく、まず勇者の炎で足止め要員として石叩きたちが即興で作った土人形と飛んできた弓矢の雨を焼き尽くし、つづいてその足元に落ちていた石を無駄の無い動きで拾い上げると、弓矢の後方から押し寄せてきたシャボン玉めがけて素早く投げつけた。
「し、しまっ……」
ボイツェフ中隊長がその意図を悟って声を上げるが、その台詞が全て終わらないうちに最初のシャボン玉が小石とぶつかって破裂した。
そして魔界の玄関を守る砦に、この日最大の激震が響き渡る。
*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*
「そ、そんニャ馬鹿ニャ……」
屋上から砦を見下ろすマルの目に映るのは、倒れて動けなくなった兵士たちの姿。
激しい爆発の痕は地面を大きく抉り取られ、砦を守る門は跡形も無く消し飛んでいる。
残念なことに、視界の中で動いている味方は一人もいなかった……
いったい何が起きたのか?
――簡単に言えば連鎖爆発である。
最初に弾けたシャボン玉の爆破の余波で、周囲にあったシャボン玉が次々に破裂。
あとは言うまでも無いだろう。
ほとんど自爆に近いようなやられ方だ。
これでは散っていった兵士たちも浮かばれないに違いない。
「さぁ、覚悟はいいか馬鹿猫! この戦士クリストハルト様が、テメェのそっ首叩き斬ってやる!!」
自らをクリストハ
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