Episode 3 デリバリー始めました
猛火と愚者の殺意ある交接
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に命令するな!」
男は、懐から瓢箪のような形をした木製の容器を取り出すと、その中身を一気に煽った。
冒険者なら誰でも常備している即効性の治癒薬である。
味はひどいが、効果は抜群だ。
傷を完全に癒すまでは出来ないものの、砕けた肋骨を瞬時に修復し、動き回るのに支障が無い程度までは回復できる。
「クソっ、あの変な楽器はヤベェなぁ……さっさとぶっ壊さねぇと」
「そうだね。 あの攻撃、私の力とは相性が悪い。 撃ち合いになったら負けるよ?」
マルの放った攻撃は、見た目は愛らしくて幻想的だが、その正体は内側が極端に頑丈であるにもかかわらず外の刺激に対しては異様に脆いという奇妙な性質の結界であり、中には超圧縮された攻撃性の水の元素が詰まっている。
つまり、何かに触れた途端に水が一瞬で水蒸気に変わって大爆発。
その本質が熱の塊に過ぎない火の鳥の羽では爆風に逆らって飛ぶことは出来ず、弾き飛ばされてあっさり無効化されてしまう。
「ニャハハハハ! 見たか、無差別破壊にしか使用できないこの魔楽器のろくでもない威力!! 何でキシリアがこれを失敗作と言ったのかサッパリだニャア!」
「調子に乗るな、このクソ猫がぁっ!」
マルの身勝手な勝利宣言に、戦士の目に殺意の光が揺らめく。
同時に、戦士は隣で呆然としていた勇者を軽々と小脇に抱え、マルの占拠している砦の屋上目指して一気に駆け出した。
「馬鹿か、テメェは! その物騒な力は近距離じゃ使えねーし、敵味方の入り乱れた条件で使ったら自分の陣営に被害が出るだろ! しかも、その物騒な泡は自分からある程度の距離でしか生み出すことが出来ない、理論のみで作り上げた試作品だ! マジで失敗作じゃねぇか!!」
そして走りながら、戦士は小馬鹿にしたような笑みを浮かべてマルの弱点を突きつける。
それはまさにこの魔楽器の製作者がキシリア欠陥品と判断し、この楽器を廃棄した時の台詞だった。
「ニャ!? なぜ、この魔楽器の致命的な欠陥を!? き、貴様……実は頭いいニャ!?」
「「アホか!!」」
マルの間抜けな台詞に、周囲の兵士が一斉にツッコミを入れた。
全てマルの口からこぼれた情報を基にした対策である。
有体に言えば、『無差別破壊にしか使えない』=『細かい制御が出来ない大雑把な攻撃』という簡単に公式が成立するという事である。
しかもシャボン玉の発生場所を任意に選択できるのならば、わざわざシャボン玉を生み出してから移動させるという余分な手間は必要ない。
つまり、この魔道具は、自分の至近距離に不安定な爆弾を無数に生み出すという恐ろしい代物なのだ。
はっきり言えば、浮遊機雷を作り出すための魔道具であり、作っ
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