Episode 3 デリバリー始めました
猛火と愚者の殺意ある交接
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た槌を地面にたたきつける。
その瞬間、大地が揺れた。
石叩き――鉱山に住み、鉱夫達に鉱石のありかや落盤の危険を知らせるという、ゴブリンである。
その理力は大地に干渉し、岩や土を自在に操る力を持つ。
そして彼等の意思は大地から突き上げる無数のとがった岩となって、彼等の敵へとおし寄せた。
――だが、その絶体絶命の場面においても、男の薄笑いは止まらなかった。
「ふん……無粋だな。 ついでに、策が甘すぎる。 この低脳共が! 俺がその戦術を予想していなかったとでも思ったか?」
そしてその言葉と共に、男は少女の鎖をグイと引き寄せた。
「カリンカ……カリンカマリーナ! このボンクラ共をお前の炎で焼き尽くしてやれ!!」
おそらく本名は"紅果の君"というのであろう。
その愛称形である"カリンカ"、さらに自らの恋人への呼び方である"愛しの赤い果実"と呼ばれたその少女は、男の呼びかけに大きく息を吸うと、紅蓮の光と共に一気にソレを吐き出した。
「いかん、下がれ!!」
その様子を見ていたボイツェフ中隊長が遠くから警告するが、間に合わない。
吐き出されたのは、真紅に輝く無数の鳥の羽。
その羽吹雪の一つ一つがひときわ大きく輝くや否や、黄昏よりも深い赤の光と共に、大爆発を引き起こした。
「ぐぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
「腕が! 俺の腕がぁぁぁぁぁぁっ!!」
石叩きたちの作り出した瓦礫の槍を残らず弾き飛ばすほどの、指向性の爆発。
砕けた岩と共に吹き寄せる魔術の炎が一瞬にして周囲の人垣に襲い掛かり、兵士の顔や手足に火傷などという生易しいものではなく、ほぼ消失といってよいほどの深い傷を与える。
「さて、続きを楽しもうか? ……言っておくが、がっついて今みたいなことしやがったら、お前ら一気に灰に変えるぞ。 俺は上り詰めるまでに時間がかかる方なんでな。 勝手にお前らでフィーバーされると物足なさを感じちまうんだよ」
そう、最初から勇者の力を全開にしたならば、この砦ごと灰に変えることが出来たのだ。
なぜそれをしなかったといえば、単にこの男が遊びたかっただけという忌まわしい事実を、この場にいる全員が否応無く思い知らされる。
戦士の物騒な笑みに晒され、魔物たちは焼け野原の暑さにもかかわらず全員が震え上がっていた。
だが、そのとんでもない脅し文句に周囲が沈黙する中、どこからともなくいきなり能天気な嘲りが響く。
「やれやれ、品の無い脅し文句、10点中2点をつけるニャ。 しかも借り物の力でずいぶんと大きな口を叩くなんて、恥ずかしいヤツだニャ」
「誰だ!」
苛立たしげに誰何する男。
だが、その声のした方向を見て、男の目がま
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