Episode 3 デリバリー始めました
猛火と愚者の殺意ある交接
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ちの作るゴーレムを動かす材料になるからだ。
別に人の魂やその他の魔物の魂でも代用がきかないわけではないが、特に精度の高い動きを要求されるオートマタなどの体を流れる情報伝達物質となると、その材料は妖精達の魂の結晶体である"妖魄液"以外の選択はありえない。
特に魔界に住んでいる高位の妖精達の妖魄液は別格で、売りに出せば一般的な店では買取が出来ず、会員制のオークションにかけられて高値で取引される。
さすがに高位妖精達ほどではないが、人間界に住む妖精達と比べると、この魔界に住むゴブリン達のほうがはるかに質が高い。
ただ、一匹のゴブリンの魂から生成できる妖魄液は僅かであり、その回収器である掌サイズの黒水晶を一杯にしようとするなら、それこそ大虐殺というべき大量のゴブリンの死が必要となるのだ。
「さてと、黒水晶のほうは1つ分溜まったか……だが、俺のほうがまだ満足していねぇ」
男は、灰と煤のこびりついた自分の唇を太い舌で舐め取ると、地獄の悪鬼もひるむような笑顔でそう呟いた。
「そうだな、次はお前がいい」
その値踏みする視線は、やがてゴブリンではなく屈強な猪人の前で止まる。
「さぁ、俺の遊びに付き合え! 楽しく殺ろうぜ!!」
まるで子供が遊戯に誘うような気軽さで、男は少女を片手で引きずりながら、自らを満たす強者との戦いに没頭していった。
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「つ、強い……こいつ……バケモノか!」
「なんで片手でここまで動けるんだよ!!」
下っ端のゴブリンやコボルトのみならず、猪人や人狼たちからも絶望に満ちた呟きが漏れる。
少女という足枷と、片手のみでの戦闘というハンデを負っているにも関わらず、一対一である限り男に勝てる魔物は一人たりともいなかった。
その太刀筋は、直線的で無駄が無く、そして速い。
虚実をもたぬ剣であるが、同時に虚実の通用しない洞察力も持ち合わせている。
そして相手がどう動くかを正確に予測し、毒蛇のようにゆっくりと追い詰めてゆくその戦術は、彼の前に立ちふさがる者共に陰険な吸血鬼を思わせるほどだった。
「焦るニャ! 動きを読むにも限度があるはずだニャ! 全員で囲んで一気に切りつけるニャ!」
だが、そこに遠くから誰かの声が響く。
その声に反応し、並み居る兵士たちが一斉に男から距離を取り、人垣の円陣を作った。
「……石叩き共、ヤツを囲んでその槌を振るえ!」
ようやく兵士たちも冷静になったのだろう。
指揮官の声に従い、円陣に加わっていた兵士の中でも鉱夫の姿をしたゴブリンたちが一斉に手にし
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