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トーゴの異世界無双
第九十三話 もう大丈夫だ!
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(ましんきゃく)』で一蹴(いっしゅう)された者の一人だった。
 だが闘悟はもちろん知らない。
 闘悟にとっては、何でも無いその他大勢でしかないのだ。


「さて、えっとヨッチちゃんだっけ?」
「は、はい……」


 どうやら、いきなり現れた少年が、男達をあっさりと吹き飛ばしたことに恐怖を覚えている。
 未だ怖がっている彼女を見て、闘悟は安心させるように頭を優しく撫でる。
 ビクッとなってヨッチは目を閉じる。


「もう大丈夫だ。カイバの所に帰るぞ」
「え?」


 兄の名前を聞き、目を開ける。
 するとそこには優しく微笑んでいる闘悟が目に入った。


「怖かったな?」


 頭を撫でられながら、安心感が広がっていくのを感じる。
 まるで氷が、温かな光で徐々に溶けていくかのような感覚で、ヨッチの警戒心が解けていった。


(この人の撫で方……気持ち良い……お兄ちゃんと似てる……)


 目を細めながら気持ち良さそうにしていた。


「ちょっとごめんな」
「え? きゃ!」


 いきなり闘悟に抱えられたので声を上げて驚いた。
 いわゆるお姫様抱っこなので、物凄く恥ずかしい。


「あ、でも他の人がすぐにやって来るかもしれないです!」


 ここには十人以上の監視者がいるのだ。
 この騒ぎに気づき一気に来られれば、幾(いく)らなんでも逃げ切れないと思った。


「他? ああ、ここにいる奴らなら全員倒してやったよ。半日は目が覚めねえって」
「う、嘘……」


 窓から見える景色に唖然とした。
 そこには大(だい)の大人が何人も倒れていたからだ。


「そんじゃ行くぞ!」
「きゃ!」


 闘悟に抱えられ、窓から飛び降りる。
 そのままの格好で、急いで闘武場へと戻る。


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