第九十三話 もう大丈夫だ!
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
(ましんきゃく)』で一蹴(いっしゅう)された者の一人だった。
だが闘悟はもちろん知らない。
闘悟にとっては、何でも無いその他大勢でしかないのだ。
「さて、えっとヨッチちゃんだっけ?」
「は、はい……」
どうやら、いきなり現れた少年が、男達をあっさりと吹き飛ばしたことに恐怖を覚えている。
未だ怖がっている彼女を見て、闘悟は安心させるように頭を優しく撫でる。
ビクッとなってヨッチは目を閉じる。
「もう大丈夫だ。カイバの所に帰るぞ」
「え?」
兄の名前を聞き、目を開ける。
するとそこには優しく微笑んでいる闘悟が目に入った。
「怖かったな?」
頭を撫でられながら、安心感が広がっていくのを感じる。
まるで氷が、温かな光で徐々に溶けていくかのような感覚で、ヨッチの警戒心が解けていった。
(この人の撫で方……気持ち良い……お兄ちゃんと似てる……)
目を細めながら気持ち良さそうにしていた。
「ちょっとごめんな」
「え? きゃ!」
いきなり闘悟に抱えられたので声を上げて驚いた。
いわゆるお姫様抱っこなので、物凄く恥ずかしい。
「あ、でも他の人がすぐにやって来るかもしれないです!」
ここには十人以上の監視者がいるのだ。
この騒ぎに気づき一気に来られれば、幾(いく)らなんでも逃げ切れないと思った。
「他? ああ、ここにいる奴らなら全員倒してやったよ。半日は目が覚めねえって」
「う、嘘……」
窓から見える景色に唖然とした。
そこには大(だい)の大人が何人も倒れていたからだ。
「そんじゃ行くぞ!」
「きゃ!」
闘悟に抱えられ、窓から飛び降りる。
そのままの格好で、急いで闘武場へと戻る。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ