第九十三話 もう大丈夫だ!
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「まさか闘武場で闘っている奴の魔力だったりしてな!」
笑いながら冗談交じりに言う。
「そりゃねえだろ? ここまでどれくらいあると思ってんだよ?」
「そりゃそうだ! そんなことできる奴は化け物だよな! ははは!」
そんな化け物が近くにいることに誰一人として気づいていない。
「な、なあ? それよりさ、この獣人可愛いよなぁ」
男は部屋の隅で震えているヨッチを怪しそうに見つめる。
「い、いや……」
ヨッチは体を両腕で抱えて小さくなる。
「こんな仕草もそそらね?」
「おい、お前ってロリだっけ?」
男の一人は呆れながら肩を落とす。
「ちょっとくらいなら、いいよな?」
「……勝手にしな」
呆れ交じりにそう言うと、他の男達と一緒に部屋から出て行く。
男の行為を眺めていたくは無いのだろう。
「へへ、そ、それじゃ」
「ち、近づかないで!」
「あ、安心しろって! 大丈夫だからよ!」
息を乱しながらヨッチに近づく。
目がギラギラとしてて気持ちが悪いとヨッチは感じる。
「こ、来ないで! お兄ちゃんっ! 助けてぇっ!!!」
「声をいくら出そうが……いいや、いっそのことその方が燃える……」
その時、ドガッっという音が背後でする。
何だと思い見てみると、ドアを壊しながら、先程出て行った男の一人が壁にめり込んでいる。
「な、何だ一体?」
男はめり込んでいる男を見つめていると、ギシギシと音を立てながら黒髪の少年が現れた。
「けほけほ! こんな空気の悪いとこに女の子を監禁すんなよな」
それは間違いなく闘悟その人だった。
「何だてめえは! どうやってここに!」
「あ〜鬱陶(うっとう)しいから返答は無しな」
すると男は青筋を立てて怒鳴る。
「このガキが! だがここまで来たところで無駄だ! ここには十人以上の……あれ? ていうかお前は……っ!?」
男は何かに気づいたようにポカンとする。
それはヨッチも同じだった。
この人は昨日自分の兄と一緒にいた人だ。
(確かトーゴって人だ……何か凄く有名だった気がする)
学園から帰ると、いつもこの人の話を楽しそうにカイバは話す。
そのことを覚えていたヨッチは、もしかして自分を助けに来てくれたのではないかと少し期待感が膨らむ。
「トーゴ……アカジ……」
「ん? ああ、オレのこと知ってんのか? でもま、時間無えから!」
そう言うと、闘悟は彼の顔を殴り吹き飛ばす。
実は彼は昨日闘悟の対戦相手だったのだ。
闘悟の『魔震脚
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