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トーゴの異世界無双
第九十三話 もう大丈夫だ!
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も広がっていくからである。
 それこそ止めどなく流れてくる魔力の膨大さに呆れさえ感じる。


「まだ広がっていく……? 一体どこまで……? 底は見えなかったけどここまで……?」
「フレンシア様?」


 魔力視認できないモアはフレンシアの呟きは理解できない。
 いや、視認できないのはこの場にいる者ほとんどだ。
 ただ闘悟が魔力を解放しているだけだと思っている。
 その膨大な魔力には愕然とするが、その広大さは気づいていない。
 だが、闘悟の魔力は軽く闘武場を一瞬で越え、グレイハーツを覆うまでもう後数秒だった。


 大丈夫だ……オレならできる。
 カイバの妹の魔力なら、昨日視てる。
 だから…………探せるっ!


 その場にいる者は、闘悟が何をしているのか意味が分からないだろう。
 闘悟はグレイハーツ全体を自身の魔力で細部まで覆う。
 それはあたかも海に王国ごと沈ませて、水を行き渡らせるかのようだ。
 魔力は闘悟の意志そのものであり、肉体そのものだ。
 魔力で触れたものは、闘悟にその存在を教えてくれる。
 初めて行う行為だったが、魔力は魔力で感知できる。
 ヨッチの魔力は以前感じているので、自分の魔力を広げて彼女の魔力を探そうと思ったのだ。
 だがこれは誰もができるわけではない。
 常人の魔力量ではグレイハーツどころか、闘武場を覆うのも不可能に近い。
 ヨッチがどこに囚(とら)われてるのか分からないこの状況では、最低でもグレイハーツを覆うくらいの魔力は必要になるだろう。
 闘悟なら、たとえグレイハーツの外にでも魔力を広げられる。
 だからこそ、これは闘悟にしかできない探索方法だった。
 時間も無い、この場に一番適した策だなのだ。


「……見つけた」


 すると、闘悟はその場から一瞬で姿を消す。
 誰も目で追えなかった。
 ヤーヴァスもその事態に愕然とした。


(私が見失った……っ!?)


 もちろんヤーヴァスだけでなく、その場にいる誰も、闘悟の姿を視認できた者はいない。





 その頃、闘悟は広がった魔力を戻し、ある場所まで来ていた。
 そこは廃屋(はいおく)だった。
 グレイハーツの片隅にある廃屋は、人気が無い場にひっそりと建っていた。
 闘悟は物陰からその廃屋を見つめる。
 その中には、囚われたヨッチと、それを監視している『黄金の鴉』の輩が大勢いた。


「ここか……」


 人数は把握している。
 あとは掃除するだけだと闘悟はその場を動いた。





「おい、今の魔力なんだ?」


 男の一人が先程感じた魔力に疑問を持つ。


「さあ? でも一瞬で消えたから別に気にする必要なんてないだろ?」

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