第九十一話 汚ねえ奴らだな
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だけど一つ思い出したことがあった。
チラシにもう一つ賞品が書いてあったのを今思い出したのだ。
「……あ、もしかして王妃様のデコチューが?」
「……ふざけてるんですか?」
ガシューが言葉を放つと、周りの者達が凄みを利かせて視線を送って来た。
(ですよねぇ……なら何だ? 他に何かあるのか……?)
そう考えても答えは出ない。
「まあ知らないなら別にいいでしょう。そんなことよりも、今は頼みの方なんですがね?」
カイバはガシューと視線を逸らさず言葉を放つ。
「……それはできませんね」
「ほぅ」
「この大会はみんな必死になって闘ってる。俺みたいな半端者が勝ち残ったのは運が良かったけど、俺だってここまできたら全力で闘いたい」
「お兄ちゃん……」
ヨッチが兄の真剣さを感じ取り、尊敬の声を上げる。
「では、我々の頼みは聞けないと?」
「もちろんだ! ガシューさん、軽蔑したよ! こんなことする人だとは思わなかった!」
しばらく沈黙が周囲を支配する。
すると、静かにガシューが笑い始めた。
「ククク、そうですか。では、こうしましょう」
カイバは最大限に警戒する。
いや、警戒していたはずだった。
特に背後にいるヨッチには気を配っていた。
だが、何故か今目の先にいたガシューがいなくなって、代わりにヨッチがいた。
「え……っ!?」
その時、全身に激痛が走る。
「ぐがっ……ぎ……っ!?」
気づいたら地面に倒れていた。
体が痺れて動かない。
何をされたか分からなかった。
ヨッチも何が起こったのか分からず呆然として、倒れた兄を見つめる。
「お、お、おに〜〜〜ちゃ〜〜〜んっ!!!」
倒れたカイバを心配して声を張り上げる。
「捉えろ」
グレイクがそう言うと、ヨッチの周りにいた者が彼女を押さえる。
「いやっ! 離してっ! 助けてお兄ちゃんっ!」
暴れるが、グレイクが彼女の首に手刀を落とす。
「うっ……お……にい……ちゃ……」
ヨッチは意識を手放した。
「ヨ……ヨ……チ……」
大きな声が出ない。
微かに喉が震える程度だ。
「さて、ここに『毒針』があります。ああいえ、毒といっても別に死ぬわけではありません。その効果は君が今体験しています。ただ数日は動けなくなりますが…………分かりますね?」
つまり、試合の最中、隙を見てヤーヴァスに刺せと言っているわけだ。
『毒針』が入っている革の袋をカイバの目の前に落とす。
「やる時は指示します。見逃さ
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