暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode5 旅路、猫妖精領
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の高さも頷けようというものだ。

 「持ってるアイテムも、かなり高価だったらしいネ? 幾つか見たこと無いのあったヨ! 全部キミがゲットしてたんだって、売り子のオンナノコが言ってたヨ〜。相当の腕じゃないとあれだけのレアア
イテム集めるなんて無理なんじゃないかナ?」
 「……いろいろ交換して貰って、わらしべ長者っただけだよ」

 嘘だが。八割は自前だ。

 「飛べないんだったら、いい騎乗用生物いるヨ?天馬(ペガサス)とか、鷲頭馬(グリフォン)とか使えるようになれば羽が使えなくても移動に困らないヨ!」
 「ああ、そりゃ便利だな」
 「だからその代わりニ」
 「断るっ!」
 「はヤっ!!?」

 全く、こういう奴の相手は苦手だ。コロコロと変わる表情。ピョコピョコと飛び回る体。バカっぽくて賑やかで、それでいてどこか放っておけない、人を引き寄せる力のある独特の人間性。見上げてくる瞳が媚びるような色を帯び、俺を絡め取っていく。

 全く。まーったく。

 「んー……ナカナカ上手くいかないネー……」
 「そうだな……」
 「問題の中心が何を言うかーイ!」
 「同じく中心が何を言うかーい!」

 ただし、まあ、こんなアホなネタに付き合ってくれるくらいには、ネットゲーマーだな。向こうの世界の彼女の外見はこの通りのそれでは無いのだろうが、おそらく同じように慕われているのだろうな。それは、なんとなく、感じる。彼女の笑顔を見ていると、なんとなく、な。

 まあ、だからと言って手伝うわけではないのだが。

 「んー、マ、良かったら領主館に遊びにきてヨ! ほら、通行証!」

 ……だが、バカには、突っ込まねば。これには、流石に。
 バカやって取り返しのつかないことをした奴だって、世の中にはいるのだ。

 「……それは流石にマズいだろうが。俺がスパイだったら、どうする気だ?」
 「スパイなの?」
 「そーだぞーすぱいだぞー」
 「ププッ。そんなんじゃ誰も信じないヨー!」
 「……、とにかく、気を許しすぎるのはよくねーよ、ったく」

 ちょっと、とげとげしかったか。気にして、ちらりと目をやってその横顔を見やる。その先にあったのは……おいテメー、言葉が通じてねーみたいな顔して首かしげてんじゃねーよ。テメーだってその外見通りの年ってわけじゃねえんだろうが。ちょっとボケてもかわいくねーぞ。ホントだぞ。

 「んー、ワタシは、折角だから楽しむべきだと思うけどナー」
 「……はぁ〜…」
 「だから、サ」

 ととっ、と。数歩前を歩いて、くるりと振り返る。
 その拍子に、シッポがピコピコと揺れる。

 顔には、心からの、笑顔。本当に、人を信じきった笑顔。

 ―――全く、勘弁してほしいぜ、ホントによ。


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