ALO編
episode5 旅路、猫妖精領
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た、遠い世界に思いを馳せる。
俺は所持容量を拡張するアイテムがあったしそこまでの大きな商いをすることはなかったから個人では使わなかったが、何度か大規模ダンジョンの攻略班の後方支援用の物資運搬に何度か用いられ、その護衛に同行したことがある。
「それでなくてモこっちは感謝してるんだし、サ?」
「だから買い被りだって」
なおも食い下がる、アリシャ。
どうも彼女も俺が「強い」と勘違いしているらしい。
そう、それは勘違いだ。
あの時の戦闘形態は、この世界では珍しい地上での防衛戦だった。もっと言えば、あっち世界での俺の得意分野の一つともいえた。敵は集団で一か所を狙ってくる。こちらはそれを待ち受ける。乱戦で地上戦で、俺なら護衛を味方に任せて敵陣に突入、混乱を引き起こせばいい。敵も味方も慣れていない状況では、俺の動きは流石に捉えられなかったのだろう。
簡単に言えば、俺は「強く見えるように誤魔化している」のだ。
実際には、強くなんてないのだ、俺は。
それに。
(それに、二人の支援も、すごかったしな……)
後方支援のモモカ、ブロッサムとの連携は、風妖精領以降どんどんその練度を高めていた。二人が、あの『風の啼く岬』で何を思ったかは、知らない。聞いてもいない。だが彼女らだってそれぞれ何かを思ったのだろう。俺が、あそこでどうしようもない俺の中の弱さを知ったように。
それがどのような力とどのような相互関係で作用したのかは不明だが、とりあえずいい方向にベクトルが向いていたらしく、三人での旅も、戦闘も、こうした集団戦も、以前より更にその連携は各段に上手くなっていた。魂が近づいた……なんてのは、ちょっと調子に乗り過ぎか。
とまあ、二人の支援と勝負の相性が良かっただけであって。
(まいったな……)
俺はそんな、某二刀流だったり不死身の赤い聖騎士殿のような、すべてを覆すような強さなんて持ってるわけではないんだから、傭兵なんて出来ないんだが。
◆
しかし、思いとはえてして伝わらないモノである。
「あれだけ強いなら、雇われてヨー!」
「いや、俺弱いって。『随意飛行』はおろかまともな飛行すら出来ねえよ」
「ウチの護衛達が揃って褒めてたのにかナ? 可愛い子もいるから紹介するヨ?」
「俺にはその手は効かん。褒めてたのだって、地上戦だったからだ」
必死に辞退するものの、アリシャは執拗に付き纏ってきやがる。
寝ていた芝生からはもう起き上って宿に向けて歩き出しているものの、その周りをクルクルと目まぐるしく動き回りながら喋りかけて来ており、悔しいがネコミミとネコシッポをユラユラと揺らすその姿はなかなか……いや、とても愛らしい。領主選挙の得票率
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