暁 〜小説投稿サイト〜
とある六位の火竜<サラマンダー>
ラブレター………?
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「おーし、授業始めんぞー。」

蓮を問いただそうとした佐天だが、先生が教室に入って来たために口を閉じる。先生に感謝して安堵する蓮に授業中ずっと佐天は疑いの視線を向け続けていた。





「ふぅ……やっと確認できる。」

授業終わり。トイレに来た蓮はため息をついた。

「しかし、こいつのせいで全く授業に集中できなかったなぁ……」

授業中、いきなり佐天の方から紙が飛んできたかと思ったらそれには

『さっきの話ホント?』

と書いてあった。佐天の方を見ると返事を要求するようにこちらに手を向けている。

「…………はぁ…」
「あっ……!!」

蓮がため息をついてその紙を破り佐天に投げ返す。それからの佐天の視線には疑いの他に不満気な様子が追加された。その佐天に捕まる前にと蓮は休み時間になると同時にトイレに逃げ込んだのだ。

「よし、さっさと確認して終わらせるか。」

蓮は茶封筒を開けて中を確認する。そこに1枚の紙が入っているのを見て、蓮の期待が高まる。

「なんかドキドキするな……」

期待に胸を高鳴らせ、中の紙を開き書いてある文字を読む。そこには

『果たし状
今日の放課後、学校近くの廃工場で待つ!!』

の文字。蓮はその文章を確認すると無言のままに紙を折り畳み元通りに封筒にしまう。そして両手で顔を覆う。

(ラブレターかもって期待してたのバカみたい………)

しばらくの間、蓮はその場から動くことができなかった。





「あ、神谷……ってどうしたの?」
「神谷さん?」

蓮が教室に戻るとさっそく声をかけてきた佐天だが、蓮の沈んだ様子に気付き不思議そうな顔をする。隣の初春も心配そうに声をかけるが、蓮は反応せずに自分の席で紙飛行機を折り始める。材料はさっきの果たし状。

「え〜っと……神谷さん?」
「…………」

ちょっと引きぎみな佐天と初春に構わず紙飛行機を完成させた蓮は教室の窓を開けて、紙飛行機を外に飛ばす。

「おお〜飛んだ飛んだ。」
「いいんですか?あの紙飛ばしちゃって。」
「いいんだよ。どうでもいい紙だったし。」

外に飛んでいく紙飛行機を眺めながら初春に答える蓮の顔はすっきりしたという感じで雰囲気もいつもどうりに戻っていた。その時、

「ああああああ!!」

こちらの様子を見ていた1人のクラスメイトがこちらを見て声をあげる。名前は松野奏太(まつのそうた)

「な、なに?」
「えっ?あ、いやなんでもない。勘違いだったよ。あ、あはははは…」

引きぎみに訊く佐天にそう答え、その場はそれで収まったが蓮は松野を見て確信していた。

(俺にあのふざけた果たし状書いたのあいつだな……)





「で、話っ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ