暁 〜小説投稿サイト〜
シャンヴリルの黒猫
53話「第一次本戦 (4)」
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
の中、モナが高い声でアシュレイの勝利を叫ぶのが聞こえた。




******




「えー、それでは我らが財布の運命を握っているアシュレイの第一次本戦突破を記念してー」

「「「乾杯!!」」」

「プレッシャーはかけないでほしいんだが…」

「まあいいじゃないの。ふふ」

 試合が終わったあとから妙に機嫌が良いユーゼリアに内心首を傾けるが、まあご機嫌斜めよりかはよっぽどいいので、放っておくことにした。

「このまま優勝したら賞金っておいくらなんでしょう?」

 両肘をたててエールをちびちびと飲むクオリが独り言のように尋ねた。

「1000万よ! 3人できっかり分けたとしても、1人330万と端数貰えるわ」

「さんびゃくさんじゅう……」

「おまけに少なくとも今日アッシュが勝った分は確実に賭けに反映されるから、10万の29.9倍の…ふふふふふふ」

「にひゃくきゅうじゅうきゅうまん……ふふふふふふ」

「お、おい。2人とも、正気に戻れ! 目が怖い! 怖いって!」

「このままアッシュが勝ち続ければそれだけで……ふふふふふふふふふふ」

「一体魔導書が何冊…いや何十冊買えることか……ふふふふふふふふふふ」

 そのとき、虚空を見つめていた蒼と金の瞳が同時にアシュレイを見た。頭ごと。オノマトペで言えば“ぐりゅん、ギロッ”と。
 何が言いたいかって、

(こ、怖い……)

 ノーアに抱く生命の根源的恐怖とは違うが、それに劣らない程怖かった。何か身の危険を感じた、と、後に彼は語った。

 彼女達が正気に戻ったのは十数分後、食事が運ばれてきた後である。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ