第二十七話 江田島その十一
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「美味しいわよね」
「広島はいいところよ」
宇野先輩は同級生に誇らしげに返す。
「高ちゃんのところにも負けてないから」
「言うわね、岡山だって凄いから」
「桃よね」
「マスカットにママカリにね」
そういったものがあってだというのだ。
「黍団子もあるから」
「黍団子は欠かせないのね」
「桃太郎はね」
岡山なら、というのだ。
「桃とね」
「そうよね、岡山はね」
「けれど広島も好きだから」
高見先輩は目を細めさせてその牡蠣達を見た。
「さて、それじゃあね」
「牡蠣一杯食べようね」
こうしてだった、皆その席に着く。そうして先生達が来て。
一応の注意が為されてからだった、後は。
無礼講だった、その牡蠣達が口の中に入れられ。
酒が飲まれる、琴乃はその広島の地酒を飲んで言う。
「私基本日本酒派じゃないけれど」
「それでもよね」
神社の娘なので日本酒には縁のある景子が応える。二人共その顔が次第にだが赤くなろうとしている。
「このお酒はね」
「ええ、美味しいわね」
「広島ってお米もいいからね」
景子はだからだと返す。
「お酒もね」
「お米がいいとお酒もね」
「そう、美味しいのよ」
景子は笑顔でその酒を飲んで言った。
「この通りね」
「そうよね、牡蠣にも合うわね」
「ええ、牡蠣にはやっぱりね」
「日本酒かしら」
琴乃は生牡蠣にぽん酢をつけてから食べて言う。
「この組み合わせ?」
「そうよね、ただ」
「ただ?」
「日本酒が一番かも知れないけれど」
景子もまた生牡蠣にぽん酢をつけたうえで食べながら言うのだ。
「他のお酒もね」
「合うのよね」
「琴乃ちゃん基本ワインよね」
「うん、そうよ」
「シャンパン好きだったわよね」
学生なので無論安物だがそれでもだ。
「洋酒系統よね」
「ティータイム好きだしね」
これもあった、ティータイムで飲まれるのは紅茶だけとは限らない。シャンパンもまた飲まれるからである。
「だからね」
「そうよね、魚介類って白ワインでも合うから」
「そっちも悪くないのよね」
「琴乃ちゃんシーフードの時は基本白ワインよね」
「ええ、そうよ」
実際その通りだというのだ。
「健康のこともあるしね」
「ワインがお酒では一番身体にいいから」
「それでだけれど」
こう景子に返す。
「そうしてるけれど。ただ」
「ただ?」
「日本酒もいいわね」
実際に牡蠣と一緒に飲んでみての言葉だ、コップの中のそれを見ながら言う。
「これはこれでね」
「そうよね。確かに日本酒は糖尿が怖いけれどね」
「いつも飲まないとね」
「それでいいから」
これはワインにも言える、やはり飲み過ぎは危ないのだ。
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