ALO編
episode5 旅路、風妖精領
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俺が旅を初めてはや数週間。
世間では年末年始を挟み、忘年会新年会のシーズンだ……が、生活態度的にはニートの俺には関係ない。案の定四神守家の新年のうんぬんかんぬんもお呼びはかからず、正月はのんびりと自分のステータスアップと戦闘訓練に費やせた。ん? 何か問題でも? ニート? 望むところだ。
正月ぼっち? ああそう言えば、食うつもりは無かったんだが牡丹さんがおせち持って来てくれたな。あの量は流石にちょっとビビった。ってか、本家の余りもんじゃなかったぞ、アレ。わざわざ作ったのか? ありがたいが、なにが彼女にそこまでさせるのか、ちょっとした恐怖すら感じるぞ。
さて、そんなこんなでALO。
俺はアルヴヘイムの各領の主都は勿論、かなりの数存在する中立村も結構な数を訪れて旅をしていた。そんな中で、寂れた村ものどかな村も、勇壮な城もおどろおどろしい街も見てきたわけだが、その中で最も美しい街は、と聞かれれば、俺はこう答えるだろう。
風妖精領の首都、翡翠色の尖塔、スイルベーン、と。
◆
「すっげえな……」
思わず感嘆の声を漏らして、夢中でスクリーンショットをとる。陽光を受けて輝く緑色の尖塔の積み重なったその街は、俺の今まで見てきたあらゆる景色の中でも間違いなくトップスリーには入る絶景だ。緑を基調としていて目にも優しいしな。間違いなく俺の書く「ALO旅行記(仮)」の彩の一つとなってくれるだろう。
さらに有難いことに、シルフはそこまで行商に目くじらを立てることは無いようであった。行商だと告げればPKはおろかまともな警戒すらされることも無く、火妖精領の時と比べればその苦労は天と地どころか地球とお空の星くらいの差があった。
さらにさらに、加えて。
「うわーっ、この音楽いいなあーっ! しっとりした感じでさ」
「あ、その曲ですか!? その曲だったらね、入れた魔法瓶があるんですよ! あ、でもそれ、ちょっと値段のほうが……」
「ええっ、ホント!? 買う買う、私こう見えても古参だし、懐は割と余裕あるんだよ!」
「そうですか? なら、この音楽もお勧めです! いい感じのムードで、踊りとかにあう感じ!」
「踊りかあ……いいね!」
「り、リーファちゃん、あんまり買いすぎると……」
「いーの、私が稼いだ分なんだから! レコンに迷惑かける訳じゃないでしょ?」
一部のシルフは、積極的に馴染んでいるようだった。
モモカの今回の客寄せ用音楽は、以前の様なソロ演奏ではなく楽器達を使った即席バンドでの演奏。音楽妖精の特殊技能の一つ、『楽器の自動演奏』だ。特殊な支援効果をもった戦闘用の演奏こそ出来ないが、楽譜さえあれば自動で楽器がそれを演奏してくれると
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