ALO編
episode5 旅路、風妖精領
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羽根。
名前は確か、
「リーファ、だったっけ?」
「うん、よろしく! そっちは、ブロッサムさんと、……」
「シド、だ。よろしく。んで、そっちは、」
「レコン、です〜……」
もう一人、困ったような形の眉の少年が、ますますハの時に眉を寄せながら言う。どうやら役割的に突っ走る彼女のフォロー担当らしく、既に相当に気疲れしているのが分かる。まあその気持ち、俺にはよく、よ〜く分かるぞ、少年。人生の先輩として意見するとしたらまあ、そこは仕方ないと割り切って頑張ることだな。
聞こえはしない助言を心の中で呟く。
「うん、それじゃあ、『古森』を抜けた先の、『風の啼く岬』に行こっ! すっごいきれいなトコだし、きっとスクリーンショットとかにいいと思うよ! 上まで飛べばアルヴヘイム全体も見れるし、いい景色見れると思うから!」
……モモカの奴、俺がスクリーンショット中心で仕事に来てるってばらしやがったな。
ネットゲームという環境は、仕事で来ているような奴に対してあんまりいい顔をしないプレイヤーが圧倒的に多い。今回のように忌避感無く受け入れてもらえるのは、かなり幸運だ。その辺踏まえて、ちょっとモモカには気軽に言いふらすなと説教せんとな。
「ああ、そうしてもらえると助かるよ」
まあモモカは後でしめるとして、リーファの提案は悪くない。
いい景色があるならいい資料になるし、そろそろ時期的にも原稿を仕上げはじめないとだしな。
「んじゃあ、さっそく出発しよう! 今から行けば、夕焼けに間に合うかも! レッツゴー!」
「ゴー!!!」
二人の少女が威勢よく拳を突き上げる。
……うん、まあ、モモカはノリノリだろうな、あの性格だし。俺を「一緒に『ゴー』しないのー?」の目で見るのは頂けないが。そしてブロッサム、『ゴー』ってウィンドウに打つのはどうなんだ。ノリがいいのか悪いのかどっちなんだ。
やれやれ、と一息溜め息をついて……自分の口が笑っていたことを知った。
―――これだけの大人数は、ひさしぶりか。
思えば俺は昔は、こういった雰囲気が、嫌いじゃなかった。そんなことを、ふっと思い出した。どう嫌いじゃなかったか……或いはどう好きだったかは、今はもう思い出せなかったが。そんな遠すぎて届かない記憶を、口元の微笑みとともにゆっくりと心の中にしまい、俺は皆のあとを歩き始めた。
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