暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode5 旅路、風妖精領
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いう、「作曲家用システム」だが、一人でたくさんの楽器を同時に演奏できるのは、こうした行商の場ではとても便利だ。

 その裏付けとして、彼女のストレージは殆どが音楽関係で埋まっている。ギター、ベース、横笛、ヴァイオリンとかはまあ許すとして、ドラムはどうなんだ。重量が流石にバカに無らんだろう。かくいう俺もストレージのほぼすべてが行商用の武器防具やアイテム、各地の特産品だから、人のことは言えないが。回復呪文までカバーするブロッサムがいるからアイテム類が少なくて済むのもあるが、それでも探索用アイテムを彼女以外まともに使っていないのもどうかと思うんだがな。

 「ほう、この宝玉の効果は高いな。買おう」
 『どうぞ』
 「これは、火属性防御か。最近サラマンダーがよく突っかかってくるからな。俺も備えとくか」
 『ありがとうございます』

 ブロッサムは、相変わらず無言……いや、ウィンドウでの会話で販売をしている。彼女の販売するアイテムはそれほど多くないがかなり出来のいいものばかりらしく、どこでもそれなりに商品が捌けている。それにしてもその作成アイテム、いつ作ってるんだ? もしかして午後もダイブしてんのか?

 『どうなさいましたか? こちらを見ても利はありませんよ』

 無表情のその横顔と双眸からは、何も読み取れない。そう言えばモモカが言っていたが、別に喋れないのではないらしくモモカは何回か喋ったことがあるらしい。なんだ、俺の前では喋りたくないってかそうですかいいけどね。

 とにかく、ガタンでの行商に比べると、順調そのものだった。
 まあ敢えて面倒事を挙げるとするならば。

 「貴様、この特産品は、サラマンダー領のものではないのか!?」
 「な、なんだってっ!? こ、こいつら、スパイなのか!?」

 俺が不用意に広げた、ガタン特産品に気付かれてからだった。





 はああ〜、と大きく吐き出したダイブ一発目の息は、溜め息だった。なんか最近、また溜め息の頻度がうなぎ上りに上昇しているような…。幸せ云々は、考えるだけ時間の無駄だ。

 「ったく、まいったね……」

 午後、俺はまた一人でダイブしていた。

 有難いことにモモカと仲良くなっていた数人のシルフが庇ってくれたおかげでスパイ疑惑、果ては追放……の事態こそ免れたものの、疑惑を掛けてきた奴が結構執政部のお偉いさんだったらしく、「領内を好き勝手に動きまわらないようにな」と釘を刺されてしまった。そうなれば俺の目的である「アルヴヘイム内での隅々までの探索」は大きな制限を受けてしまう。

 まあ、正直あんまり……いや全く、聞く気はないが。ハハハ。

 「とりあえず、行きますかね」

 ダイブ早々、ゆっくりと伸びをして、肩を回す。

 うん、や
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