暁 〜小説投稿サイト〜
 Fate/Last 第6次聖杯戦争
8年後のある日
[7/7]

[9] 最初 [1]後書き [2]次話
があれば狙った英霊は呼べる。ただ、つながりの薄いものであったりすると全く違うサーヴァントが呼び出されることもある。いつかの弓兵のように。
 「わかった。でも藤ねぇと桜はどうしたんだ?」
 久しぶりに会えると思っていたのだが、会えないことが士朗は気になっていた。特に桜は間桐家とのこともある。何年か前に士郎は間桐家がかつては大陸から渡ってきた魔術師の一族であることについて知った。桜も魔術師でないかと聞くと凛はすぐに否と答えた。その時凛は悲しい目をしていた。
 「タイガは行方不明になっていた高校生を探すとかで、サクラは私が家を出るときにはいたのですが、タイガと一緒に探しに行ったのでしょうか」
 桜は非常勤講師として大河と同じく士郎たちの母校に務めている。充実していると桜は言うが、士朗は最近桜と一緒にいる時間が長くはないのでよく分からない。多少は桜のことをわかっているつもりでも、実はよく分かってなどいないのではないかと最近では思っている。
 「気になるわね。このまま聖杯戦争が再開したんじゃ二人に対しては最低限の配慮しかできなくなるし、一応は探してここに居てもらわないと」
 冷静な物言いだが、その代わりに最期の言葉の辺りはどこか暖かい言い方だった。
「そうだな。何が起きるか分からないのが聖杯戦争だ」
「私も二人に同感です。このまま二人を放置しておくのは危ない。それにあの死体は腐っていなかった。この暑くなりだした季節にです。おそらくは何らかの能力で死んだのかと。このまま放っておけば犠牲者が増えます」
 「わかってる。私は索敵と召喚準備をするから、二人は情報収集を兼ねて街のパトロールと結界の支点を見て来て」
 「了解」
 アルトリアが出て行くと凛がため息をついた。
 「まったく・・・。帰ってきたら少しはゆっくりしたいわ」
 「ああ。そのためにも、すぐに片付けよう」
 「ええ」
 凛の頭にポン、と手を置いて赤の聖骸布を羽織る。かつて、自分に生き様を示してくれた一人の弓兵のものと同じものだ。
 士朗が家から出ると、八年前と同じ夜を感じた。ひりつくような緊張感だ。一瞬でその感覚は吹き飛んだ。アルトリアのバイクのライトが、士朗を少しばかり安心させた。
 「どうしたのです?シロウ」
 「なんでもない。出してくれ。アル」
 「わかりました」
 
 バイクが走り出す。
 空は不気味なほど静かに、赤い月が登っていた。

 


[9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ