8年後のある日
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トリアを呑みこもうとしているように腹を開いたままだった。
久しぶりの我が家はやけに落ち着くものがある、と士郎は思った。凛に言わせれば心の贅肉とか言いそうだが、自分は久しぶりに家に着いた時のこの感覚を大事にしていたかった。
今、士郎は衛宮邸のリビングにあたる居間でお茶を飲んでいた。最近は部屋の大きさに合うように液晶テレビを買ったりしたので、凛はひどく文句を言っていた。(無論、機械音痴の凛は使えるようになるまでに次のテレビを買ってしまうのだろうが)
「そういえば、桜とセイバーはどうしたんだろ」
凛はテーブルの反対側で、触媒に使う予定の聖遺物を自分の親の仇のように睨みつけている。
「さあ、どうかしらね。セイバーのことだからハーレイを気に入って乗り回しているんでしょう」
凛は聖遺物を見る目のまま士郎を見てきたので士郎は軽く戦慄を覚えた。おそらく、聖遺物を手に入れるために寄ったロンドンで何かあったのだろう。
「凛、顔怖いぞ?」
「いつも通りよ」
すこぶる機嫌が悪そうなので士郎はテレビをつけようとした、その時。
「ん?」
外からバイクの排気音が聞こえたのに気付いた。
「凛、ちょっと見てくるぞ」
玄関まで行くと、ちょうどセイバーが玄関を開けるところだった。
「やぁ、セイバー、お帰り」
「あ・・・シロウ、お帰りなさい」
久しぶりに見たセイバーの顔色は優れない。
「どうしたんだ?セイバー」
「それが・・・」
「セイバーおかえり〜」
奥から凛の声がした。たまに空気を読めないのが凛のうっかりからくるものだと最近、士郎は分かった。
「セイバー、奥に行って話すか」
「ええ」
セイバーの表情は相変わらず硬い。短い返事の中にはどこかアーサー王として、武将としての刺々しさのようなものがある。
居間では凛が大きな羊皮紙の上に魔方陣をしいていた。
「あら、アル、おかえりなさい」
「おかえりなさい、リン」
「・・・?なにかあったの?」
「そうだぞ、アル。話してくれ」
「はい」
「・・・」
アルトリアがついさっき起きたことについて話したのち、凛と士朗は凛の手にできた令呪について話し合っていた。
「状況は最悪ね。こちらは冬木の情報はアルの見た死体くらいだし。アル、あなたが見つけた死体はどうしたの?」
「何かあるとまずいと思ったので、簡易結界を張っておきました。リンが前にくれたやつです」
「そう・・・じゃあアルと士朗で現場を見て来て頂戴。私は準備しておくわ」
おそらく英霊召喚の準備のためだろうと士朗は思った。サーヴァントとして使役する英霊の召喚には触媒となる聖遺物が必要となる。それはその英霊の遺品であったりすることが多いが何であれ、その英霊とつながり
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