8年後のある日
[5/7]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たら遠慮なくいってください。私はこれから柳洞寺に向かいます」
「分かったわ。アルちゃんも気を付けてね。いくら強くても女の子なんだから」
大河はまだアルトリアがこの世に魔術によって留まっている使い魔、サーヴァントだとは知らない。むろんアルトリアはこれからもそのことを話す気はない。まぁ、たとえセイバーがそうだと知っても大河は変わらずに付き合ってくれるだろうが。
アルトリアは大河にあいさつをし、そのまま柳洞寺へと向かった。
柳洞寺は冬木の地脈の要石であり、八年前に聖杯降臨の儀式が行われたのも柳洞寺の裏の池であった。柳洞寺での決戦後、凛は柳洞寺の地脈のゆがみを中心にすえてこの街全体の結界を強化することにした。それは大成功し、かつて凛の父親が作り上げていた結界をさらに強化しただけでなく、高感度の索敵までも可能にしたのだ。まさしくこの街は凛の体内ともいえる。ただ、それは凛がこの町にいる間だけで、役に立ったことはそれほど多くは無いのだが・・・。
そうこうしているうちに柳洞寺に到着したアルトリアは、あえて山門をくぐらず、そのまま結界の「核」のある裏山に行った。まさしく、獣道と言っていいほどに細く複雑な道を歩いて行く。
「・・・ん?」
異変に気付いたのはすぐだった。
「鳥がいない・・・」
今の季節なら鳥が森にいくらでもいてもおかしくないはずだ。なのに、まったくと言っていいほどその鳥がいない。いや、鳥どころか虫たちさえいない。
嫌な予感がする。
セイバーはそう思いつつも、道を行く。
ようやく目印になっている、大きなブナの木のもとにたどり着いたとき、セイバーは言葉を失った。
「ッ・・・」
たどり着いた先でセイバーが目にしたのは、無残に壊された結界の支柱に、いくつかの死体だった。しかもかなり腐食が進んでいる。おそらくは死後半年からそれ以上。
「これは・・・」
細心の注意を払って、アルトリアは近づいて行った。
死体は七つ。しかし、死体は見慣れているアルトリアが驚いたのは死体自体ではなく、その死体がまるで腹から何かが飛び出してきたかのように、裂けているのだ。
まずいことになったとアルトリアは思った。
普通の殺し方ならば、このような死に方はしない。間違いなく魔術的なものだろう。わざわざ、派手な殺し方を好むあたりはよほど好戦的な魔術師なのか、アルトリアのには判断はつかないが、凛との連絡を取った方がいいのは確かだろう。
「!?」
その時だった。背後に何かの気配を感じたのは。
「誰だっ」
瞬間的に剣を取り出す。獣の気配に、人間の気配を足して二で割ったかのようなそんなおかしな『何か』。
「・・・」
膠着は数十秒だったが、何の姿も見ないままにその気配は遠のいて行った。
振り向くと、死体はアル
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ