8年後のある日
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帰ってくるタイミングを考えてほしいです」
「そうですね」
士朗と凛が海外に赴いている間の遠坂の管轄区の面倒は基本的にアルトリアが見ていた。何度かフリーの魔術師がこの地を狙ってきたが、その時は自分で撃退した。サーヴァントは使い魔の中でも最高の部類であり、それでいてアルトリア自身の対魔力が非常に高いということもあり、撃退はさほど難しくはなかったのだ。それ以上に問題なのは地脈(俗に龍脈ともいわれ、大地の気の循環。遠坂家はこの地脈を利用して、資産を運用し財産を増やしている)の整備だった。凛は一か月以上家を空けることは極力しないが、空いてしまった場合はセイバーがすることは全て決められているのだが、それがまた難しいのだ。なにせ魔術の類はそれほど詳しくは無い。マーリンの知識を少しかじった程度なのだ。
「サクラ、私はちょっと出かけてきます。家は任せました」
彼女は高校を卒業してから教師として、士郎たちの通っていた高校に努めている。
「どこまでですか?」
「それほど遠くではないのですが、散歩と言ったところです」
「そうですか、いってらっしゃい。でも、気を付けてください。最近は行方不明者が何人か出ているらしくて、物騒ですから」
「わかっています」
最近ニュースでやっている連続行方不明者の事件はセイバーも知っていた。被害者に何の関係性もないことや何の遺留品もないことから警察の捜査はほとんど進んでないそうだ。
「では、行ってきます」
「はい」
桜は笑顔だった。
桜はいつも笑顔だ。それがセイバーには自然なものとは思えなかった。いつわりの貌、そう思えた。
外に出ると、柔らかい初夏の日差しが当たった。ブリテンよりも日差しは強いが、アルトリアはこの日本の気候が好きになってきていた。
車庫に向かうと、三人ほどの藤村組の若衆が洗車をしていた。
「アルトリアの姉さん。お疲れ様です」
「お疲れ様です。みなさん」
藤村組とは何年か前に喧嘩ともいえないようなことをしたが、それ以来、良好な関係が続いている。こうしてバイクの手入れなども藤村組の若衆がやってくれる。
「ハーレイを使いたいのですが」
「へい、整備できてやすよ」
スキンヘッドのいかにも堅気ではない若衆が言った。
「ありがとうございます」
バイクは十八年前と同じカスタマイズ・・・とはいかなかったが、シロウに言わせると、戦車のエンジン積んでるようなもんだ、とのことだった。
ヘルメットをかぶり、バイクに乗り込み、勢いよく出した。
アルトリアがこの街で衛宮士郎のサーヴァントとして召喚されてから八年が経過した。切嗣に召喚された時から計算すると、十八年になる。
アルトリアは最近、自分のことを考えることが増えた。王として選ばれ、戦いに明け暮れた毎日。剣を
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