ALO編
episode5 旅路、火妖精領2
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ば。
(できるのか……?)
今の、俺に。
あの世界の俺が見たら、笑ってしまうほどに弱くなってしまった俺に。
―――ドクン。
瞬間、足が止まった。
走り続けた、足が、止まった。
命綱であった、俺の動きが、止まった。
紛れもなく疑いもなく、愚の骨頂の行為。
瞬間、響き渡る咆哮。
見るまでも無い。ユージーンの空からの重突進攻撃だ。止まった隙を見逃すようなレベルの敵ではない。そして、止まってしまった俺に、それをかわす手段は無い。勝負、ありだ。俺はゆっくりと目を閉じた。
感じる、轟音。
衝撃。
だがそれは、俺の体を吹き飛ばしただけだった。
(は、はずれた……?いや、外した……?何故……?)
答えは、直接もたらされた。
「五分、だ。斬りたい気はあるが、……よかろう。楽しめた」
吹き飛ばされて転がった俺を、剣を仕舞いながらユージーンが見下ろす。若干敬意らしい物が見えなくもないが、こんだけ見下ろしておいてはそれもないか。ちくしょー…と思わなくも無いが、顔には出さない。「へへっ、やってやったぜ」のサムズアップだけを出す。
その様子を見て、ユージーンが口元だけで笑う。左手を操作して、出現した初めてみる巨大なメニュー画面を操作し……一つのアイテムを取りだした。放り投げられる小さなそれは、まぎれもない《パス・メダリオン》。
……俺は、とりあえず、目的を果たした。
ただ、ここで『負けた』ことは、俺の心に、長く、長く影を落としたのだが。
◆
入るのに非常に、ひっじょーに苦労したガタンだったが、正直中身はうまみが全くなかった。全く、努力が報われるなんて嘘っぱちだ。報われるときには報われるし、報われんときは報われんもんだ。まあ、アイツらはこういう俺の姿勢は嫌いだったがな。
とにかく。
苦労して入って、苦労して探したが、異種族用クエストは重装防具だったり剣や槍といった俺達の旅には使わない武器だったり、地理的な特殊Mob用のテイムアイテムなんてケットシーでもない俺には使えない道具だったり。
深いため息をつきつつ盛大に無駄骨を折った俺を中立村で迎えた二人(主にモモカ)の爆笑は、チョークスリーパーで応戦しておいた。保護コードぎりぎりの痛めつけなら、慣れたもんだからな。
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