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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode5 旅路、火妖精領2
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神経を割かなくていい分回避に専念できるという条件なためと、周囲がサラマンダーだらけでユージーンが魔法や剣が十分に振えないせいだ。

 「まだまだっ!!!」

 しかし敵もやはりなかなかのもので、観客を盾代わりに使う俺に対して巧みに同種族を避けながら大剣を向けてくる。しかしその、仲間を避けるための僅かな思考の隙間があれば、俺ならなんとかできる。避けるだけならこの体のリーチも関係ない。

 未だその剣は、俺の体を掠めるのみ。

 「おら、今四分! あと一分だぜ?」
 「……む、そうか。では」

 ユージーンが、一旦、その突進を止める。

 「遊んでいる時間はもうないな」

 含みを満たされた、声。
 そして構える剣は、横薙ぎの軌道。

 ―――正気か? これだけサラマンダーがいるのに?

 再度の突進に咄嗟に横っ跳び、観客の一人の大柄な男を盾にするべくその脇に隠れ、

 「っ、?」

 顔をゆがめる。
 みやった男……さっきまで話していた大柄な槍使いのその顔に、にやりとした笑みを見たから。

 瞬間、スローになる世界。
 振り抜かれるユージーンの巨剣。

 その剣が、吸い込まれるように槍使いの胴に入り。
 鎧の胴体を、剣が、『すり抜けた』。





 「ッ……!!?」

 男の腰の高さ…丁度、俺の、首の高さ。
 すり抜けた剣が、俺の首を。

 「くぉおおっ!!!」
 「……ほう、やるな」

 跳ね飛ばす直前、咄嗟に庇った腕を派手に斬りつけた。盾代わりに使った男が、大柄な戦士で良かった。胴体をすり抜けるのに時間がかかった分、ぎりぎりタイミングで防御が間に合った。

 だが。

 「っく……」

 それも「間に合った」、と言えるかどうかは微妙だ。

 咄嗟の動きはやはり、ほんの数週間で治る様なものでは無かったらしい。庇ったのは、左腕。本来ならこれはかわすべきだった。たとえ跳んだ直後であったとしても、頭を下げるなり転がるなりして回避することは決して不可能では無かった。

 それを、受け止めてしまった。

 (くそっ……)

 ありもしない、《フレアガントレット》を脳裏に描いて。

 小さく舌打ちして、疾走を開始する。雑踏を縫うように走って身をくらますが、敵は飛んでいる。上からなら俺の動きは丸見えだ。まだあと数十秒、逃げ切れない。一瞬だけ、ちらりと自分のステータスを見やる。

 (まずいな……)

 一気にHPが半分以上持っていかれた。イエローの注意域は、俺が次の一撃には耐えられないことを無情に告げている。あの巨剣が対象を透過する力をもつなら、このプレイヤーの雑踏は効果が無い。次の一撃は、完全に見切らなくてはならない。見切って、避けなけれ
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