第九十話 嫌な予感が当たっち待ったか
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い。
普通なら二人でヤーヴァスを攻略しようとする。
コーク一人では荷が重過ぎる。
それなのに、グレイクは静かに佇(たたず)んでいる。
(そんなにこの男を信頼しているのか?)
ヤーヴァスは無表情でコークを観察する。
(いや、そんな感じではないな……だったら一体……?)
未だグレイクが平然としている理由は分からない。
何かを企んでいるのであれば、少しグレイクを警戒する必要がある。
そう判断して、ヤーヴァスはコークとグレイク二人により一層気を張る。
すると、ヤーヴァスはあることが気になった。
グレイクが軽く笑みを浮かべているのだ。
だがその笑みは、自分に向けられているものではない。
(あの者は何を考えている……?)
辿り着けない答えを必死に探す。
ヤーヴァス達の試合を不可思議に感じているのは闘悟も同様だった。
そして、隣に陣取っているミラニも首を傾げている。
「変だな」
ミラニは眉間にしわを寄せながら声を出す。
それを聞いた闘悟は頷き肯定する。
「ああ、あのおっさん何で動かねえんだろうな」
カイバが動かない理由は何となく分かる。
ヤーヴァスに動くなという指示を受けたのだろう。
その方が闘い易いし、カイバの実力を知っていればこその良い判断だと思う。
「違う」
「え?」
いきなりミラニが否定したのでつい声を出してしまった。
「私が変だと感じているのは、あの男の視線だ」
「視線?」
闘悟はグレイクを観察するように見つめる。
「奴の視線はヤーヴァスに向けられてはいない」
確かにミラニの言う通りだった。
今注意を向けるべきなのは、間違いなく強者であるヤーヴァスだ。
自分達よりも強いかもしれない相手から視線を外すような自殺行為を、どうしてグレイクは行っているのか理由が分からない。
「一体誰を見てんだ?」
だが遠目に見てもよく分からない。
分かるのはその視線がヤーヴァスとコークの方に向いていないということだ。
この状況で誰に注目してるのか……それにここからじゃよく見えねえけど、アイツ……笑ってる……?
そしてふと思いつくことがある。
アイツは『黄金の鴉』…………まさか……。
闘悟がそう感じ、眉を寄せているといきなり背後から声が聞こえる。
「失礼致します」
振り向くと、そこにはミラニの部下である魔法騎士団の団員がいた。
VIPルームにいる者全員がそちらに注目する。
「どうした?」
ミラニが代表して問う。
「はっ! いきなり申し
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