第八十八話 カイバはどうしたんだ……?
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カイバ・バン・ハッセルはネコミミを持つ獣人である。
正式名称は『猫人族(ウェアキャット)』と呼ばれる種族だ。
魔力はそれほど強くは無いが、獣人族には生まれ持った強大な肉体がある。
もちろん全ての獣人がそのような特徴を持っているわけではない。
中には魔力も肉体も恵まれている獣人族も存在する。
だがほとんどの獣人族は、魔力よりも肉体的特徴が優れている。
その中でも『猫人族(ウェアキャット)』は特に脚力が発達している。
その強靭な脚力での俊敏な動きは獣人の中でもトップクラスだ。
二次予選当日の朝、早起きしたカイバは、その脚力を活かす修練をしていた。
彼も将来はミラニと同じグレイハーツ魔法騎士団に所属することが夢だ。
そのためにもギルドに登録して、腕を磨いている。
今大会に出場したのも自分にとってかけがえのない経験になると思ったからだ。
「ふぅ、これくらいにしとくか。う〜緊張すんなぁ……しかもパートナーがあの『土波(つちなみ)』だもんなぁ……」
自分とは全く釣り合わない相手がパートナーになったことで、最初は嬉しいと思っていたが、よく考えれば、彼にとっては足手纏(あしでまと)いの何ものでもない。
そう考えると、本当に申し訳なく思う。
だからこうして少しでも強くなろうと修練をしているのだ。
汗を拭いていると、背後に何者かの気配を感じた。
闘武場(とうぶじょう)ではまだ始まるまでかなり時間があるというのに、観客席は満席になり、立ち見客まで大勢いる。
彼らは今か今かと、二次予選の開始を待っている。
「皆様おはようございます! 今日も張り切って実況致しますのでよろしくお願いします!」
モアの挨拶が闘武場に響く。
「今日も解説はもちろんこの人です!」
「フレンシアです。よろしくお願いします」
モア同様に挨拶をする。
観客の中には彼女の姿に見惚れている者もいる。
闘悟に対する態度はともかく、彼女は間違いなく人目を惹きつける美貌の持ち主なのだ。
しかも三賢人と呼ばれる地位に登りつめた人物なので、誰もが憧れの瞳を向けるのも当然なのだ。
「では、今日の予選内容をもう一度ご説明致します!」
観客の視線を一手に引き受ける。
「この二次予選は、タッグマッチです。二人一組になり、対戦して頂きます! パートナーになる相手は、昨日クジを引いて頂き決まっています! バトル方式はタッグマッチといっても、勝ち抜き方式にするのか、そのまま二対二のロイヤル方式にするのか、それとも別の方式にするのかは対戦者に決めて頂きます!」
今闘武場に集結している参加者の四十人はどの方式で闘うのか、頭でシミュ
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