TURN69 遅かった復帰その七
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「しかもソビエト軍は大軍です」
「それではだ」
「とても戦えませんね」
「ウクライナまで撤退するしかない」
「けどここで撤退したら」
ギリシアが言う。
「もう終わり」
「ソビエト軍はその数をさらに増やしてきてますよ」
ハンガリーはソビエト軍を見ていた。
「このままでは」
「百個艦隊では効かなくなるな」
「はい、それだけの相手とは戦えません」
幾らドクツ軍が精強でもだというのだ。
「数が違い過ぎます」
「その通りだ。だが」
「それでもですか」
「戦える状況ではない」
それが今のドクツ軍だった。
「補給も修理も出来ていなければだ」
「とてもですね」
「その通りだ。ここは撤退する」
こう言って実際に軍を撤退させる。だが。
ソビエト軍は追いすがる。ドクツ軍は撤退すらままらなない状況だった。
だがここで一人の男が名乗りを挙げた。彼は陽気な顔でモニターからベートーベンに対してこう言ったのである。
「俺が残るよ」
「ヒムラー隊長がか」
「俺の親衛隊は損害が少ないからさ」
だから残るというのだ。
「君達は逃げるといいよ」
「しかしそれでは」
「いいさ。俺は死なないからね」
こうベートーベンに言うのである。
「安心していいよ」
「いいのか」
「君達はウクライナまで撤退してそこで補給と修理を受けて反撃するんだ」
このカテーリングラードから撤退してだというのだ。
「そうしてくれるかな」
「貴官がそこまで言うのなら」
「俺も後から行くよ。じゃあね」
「武運長久を祈る」
ベートーベンも今はこうヒムラーに告げた。そうしてだった。
ヒムラー率いる親衛隊はソビエト軍の大軍の前に出る。その間にドクツ軍は戦線を離脱していっていた。
何も知らない新鋭隊員達は撤退する友軍を見ながら意を決していた。
「よし、やるか」
「俺達の意地を見せるか」
「総統の為、ドクツの為」
「最後の最後まで戦うぞ」
「そうするからな」
こう言ってだった。彼等は死を覚悟してソビエト軍との戦いに入った。その彼等を指揮するヒムラーの采配は見事だった。
「機雷を前にありったけ出す」
「そして足止めですね」
「そうしますか」
「そのうえで動き続けながらビーム攻撃を続ける」
それもするというのだ。
「後は側面から潜水艦で攻撃を仕掛ける。そうして」
「敵を徹底的に足止めをして」
「そうして戦うんですね」
「友軍が無事撤退するまでここに残るからな」
この状況でもヒムラーの態度は飄々としている。だがその飄々としたものは東郷のそれとは違う怪しいものがあるものだった。
「そうするよ」
「はい、では隊長」
「総統とドクツの為に戦いましょう」
隊員達は純粋にヒムラーに応えた。そして。
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