52話「第一次本戦 (3)」
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左右からハサミのように首を狙って放たれた双剣を、髪を数本斬られつつも回避、サマーソルトでクラインの手から片方の剣を叩き落とす。
間髪入れずに降ってくる槍の嵐を後転直後後ろに跳びずさって避けた。
緩慢な動作で、運良く足下に落ちていたクラインの片手剣を拾った。2人はアシュレイを警戒し武器を構えるだけで、襲ってくることはなかった。クラインがジンジンと痺れて動かない手をだらんと下げたまま舌打ちする。
(どんな馬鹿力だよ、あの野郎)
胴体部分に比べれば薄いものの、クラインは長手袋型の手甲をしている。“軽くて丈夫”が売りの高級金属、赤硬銅80%の高級品だ。中地には衝撃吸収と蒸れ防止の為にBクラスの魔物の糸で編んだ布が使われている。
にもかかわらず通った、それも重い打撃。驚愕だった。
(本当にFランカーかっての)
「…おい」
「分かってるよ。…舐めてかかったら、こっちが危ない」
クラインの左手を視界に収めたリーメイが、静かに腰を落とす。
もちろんこの小声のやりとりも観客席には丸聞こえで、観客はざわめいた。ユーゼリアとクオリなどは、してやったりと顔を見合わせた。
『どうやらアシュレイ選手、Fランカーという肩書きに合わない実力者のようです! さて、それでも2人のB系ランカーの攻撃をかわすことはできるのでしょうか!?』
「やああ!!」
ダッとリーメイが飛び出した。遠心力で槍を横薙ぎに振るう。しゃがんで避けると読んでいたかのように完璧なタイミングで片手剣がアシュレイを襲った。
「ん、」
眉を上げつつ体をひねり剣を避け、振り向き様クラインの目にフィールドの砂を叩きつけた。
「うわっぷ!」
ここでクラインにたたみかけようとするも、それは正確にアシュレイの膝を狙って放たれた槍によって叶わない。
「チッ」
舌打ちと共に腕を動かす。クラインを狙っていた剣は槍の穂先に当たり、僅かにその狙いを逸らせると音を立てて真っ二つに折れた。
「ぬがー!!」
「我慢をし! 助けてやったんだから、寧ろ礼が欲しいね!」
奇声を上げたクラインに、リーメイが地面に突き刺さった槍を抜きながら怒鳴った。ぷるぷると震えながらクラインはアシュレイを指差す。
「……ずうぇええったいに、勝ぁつ!!」
この大会では、例え試合中に武器が破損しても、対戦選手に賠償請求をすることは出来ない。しかし実際のところ、選手たちは武器の賠償をしたりしなかったりしている。大会はそれを黙認している形だ。
“勝ったら賠償請求可”
つまり、勝てば官軍。請求金額が本来の半分だけのときもあれば(およそこれは低ランカーに優しい措置である)、しっかり
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