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東方守勢録
最終部
第一話
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ちを見ている。妖夢は思考が一気に吹き飛んでいく感じがした。


「えっ!? いやっ……ええ!?」

「あはは……大丈夫?」

「大丈夫じゃないですよ!? いきなり何言ってるんですか!?」


妖夢はおもいっきり動揺していた。幽々子にばれていたこともあってか、俊司自身にばれてしまっていたのかと思っていたのだ。

心臓の鼓動がどんどん大きくなっていく。恥ずかしさのせいで、ほとんど動けなくなっていた。


「……あ……う……」

「……答えてくれるか?」

「……」


どうするべきか分からなくなっていた。

今答えなくても、今の反応を見ればなんとなく見当がつくだろう。だが、もし今答えてしまってはこの関係が崩れてしまうのかと思うと、何もできなくなっていた。


「……今ですか?」

「ああ」


目の前の少年はまっすぐ妖夢を見ていた。その視線に恥ずかしくなる妖夢だったが、その中から微かに勇気の感情が伝わってきていた。

それが後押しになってか、それに答えたいという自分も生まれてきていた。


「……わかりました、きちんとお答えします」

「……うん」


妖夢はあせり始める自分を抑えながら、きちんと言葉にしていた。












「私は……俊司さんのことが……すき……です」









「……そっか」

「それだけですか!?」


俊司の反応に、妖夢は思わず声をあげていた。


「あははっ……なんか、なんて言っていいかわからなくってさ」

「ううっ……」

「ごっ……ごめん」


恥ずかしさのせいか、何もしゃべれなくなった二人。変な空気が二人を包みこんでいた。


「俊司さんは……どうなんですか?」

「俺?」

「はい」


妖夢は、若干睨むような感じで俊司を見ていた。俊司はそっぽを向いたまま、なぜか申し訳なさそうにしていた。


「今は言わない」


俊司は少し笑いながらそう言った。


「えっ!?」

「だって、後がいいって言ったじゃん」

「そっそんな! そんなの卑怯ですよ!!」

「あはは……まあ、そう言うことで」


俊司はそう言いながら立ち上がる。そのまま呆気にとられたままの妖夢に別れを告げ、自分の部屋へと帰って行った。


「……どういうことですか……俊司さん……卑怯すぎますよ……」


妖夢は半分涙目になっていた。











少し離れた廊下の一角にて


「……最低だ……俺」


俊司はうずくまってそう呟いた。
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