第8話
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Side 渚
「おっと!」
黄色ジャージを着た小猫ちゃんとの素手での組手をしている。今はボディを狙った一撃を回避したところだ。
「・・・・・・・・・当たってください」
再び小猫ちゃんの攻撃を避ける。今度は足払い。バックステップで避ける。
実を言うとこんな感じのことを、もう五分間以上続けている。小猫ちゃんが攻め、僕がそれを避ける。
「シッ!」
女の子に手を出すのはいささか抵抗があるが、僕も攻撃を繰り出す。胴体を狙った蹴りだ。しかし、小猫ちゃんは容易に防ぎ、カウンターのように攻撃してくる。
いかんせん、僕の攻撃が効かないのだ。小猫ちゃんは戦車の特性を活かしているので、防御力が高い。鞘に収まりし魔剣を持っていればまだ違うだろうが、今回は素手での組手。魔力も身体強化以外は使用禁止だ。身体強化した攻撃でも、小猫ちゃんの防御は今のところ貫けない。僕の一撃が軽いのだ。
「ふっ!」
子猫ちゃんのカウンターを避ける。さっきからずっとこの調子。小猫ちゃんの攻撃は僕には当たらないが、僕の攻撃も小猫ちゃんにはダメージにならない。千日手っぽくなってきたようだ。
「おーい。まだかー?」
兄さんもさっきから同じような、攻防なので飽きてきたみたいだ。最初は高度な戦いを見るような目だったが、ずっと同じことの繰り返しじゃ仕方がないだろう。
「いったんここでやめにしない? このままじゃ結構時間がかかりそうだし」
「・・・・・・・・・・賛成です」
鳩尾を狙ったパンチを避けながら、小猫ちゃんに提案すると、あちらもそう思ったのか拳を引いてくれた。
「おっ! やっと俺の番か!」
座ってみていた兄さんが勢いよく立ち上がり、こちらに向かってくる。僕は兄さんと交代するように移動した。
子猫ちゃんは、肩をぐるぐると回して戦闘態勢に入る。
兄さんもボクシングのような構えをとった。
「・・・・・・・・行きます」
子猫ちゃんがそう言って、兄さんに向かって駆け出した。小柄な体なので結構素早い。
「うわああああああああああああああああああああああああ!」
さて、兄さんはどう対応するのかと思ったら、小猫ちゃんのボディーブローが兄さんに突き刺さっていた。そして兄さんはその威力で吹き飛んでいく。
(人が宙を舞う威力って・・・・・・・・当たらなくてよかった・・・・・・)
「あべしっ!」
吹き飛んだ兄さんは、周囲に生えていた木にぶつかった。見かたを変えると、兄さんが木に抱き着いているようにも見える。なんて熱い抱擁なんだ・・・・・・・・。
「に、兄さん? 大丈夫かい?」
声をかけると、兄さん
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