機動戦士ガンダムSEED
0232話
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デンスに僅かに残っていたバックパックの残骸をも砕け散らす。リニアレールガンから放たれた弾丸が右腕を付け根から吹き飛ばし、ランツェ・カノーネから放たれたビームはプロヴィデンスの下半身を唯一残っていた左脚諸共に消滅させる。
「T-LINKシステム、フルコンタクト! SPブースト、斬!」
そして最後に未だにプロヴィデンスへと絡まっていたグレイプニルの糸がSPブーストにより発生した切断力でその身を瞬時に斬り裂く。
一連の攻撃が終わった後に残っていたのは、既にコックピット周辺の部分だけとなっていた。そしてそれもまた、すぐに核分裂エンジンの爆発で消滅するだろう。
「……アクセル・アルマーと言ったな……見事だ」
これ程までに機体を破壊されてもまだ通信が可能だったらしく、クルーゼからの通信が聞こえて来る。映像に映し出されたクルーゼは既に顔を覆っていたマスクも千切れ、テロメアの影響で目元に現れた深い皺が見えている。また、内臓かどこかにダメージを受けて血を吐いたのか、口の周りには血の跡が残っていた。
「ラウ・ル・クルーゼ……せめて安らかに眠れ」
「フ、フフ……君のような規格外を敵に回した事が、私の最大のミス、か……ぐふっ!」
最後まで言葉を続ける事も出来ないままに、口から血を吐き出す。
「だが、私は後悔していない。これもまた、私が望んだ結果の……1つなのだから。……それよりも、今際の際の頼みを、聞いてくれるかね?」
「言ってみろ」
「プラントに、レイ・ザ・バレルという少年が、いる。彼は、私と、同じ……存在。もし、君……達の、力で彼を、治せる……のなら……」
既に限界なのだろう、クルーゼは言葉の合間合間に口から血を吐き出しながらもう1人の自分の事を頼んでくる。
レイ・ザ・バレル。アル・ダ・フラガのクローン……というよりは、このラウ・ル・クルーゼのクローンだったか? 確かにまだこのクルーゼのように憎悪に塗れていないというのなら、救いの手を伸ばすのは可能だろう。だが、しかし……
「いいのか?」
「あ、ああ……彼には、私と同じ道を……歩ませたくは……」
「……いいだろう。保護者であるギルバート・デュランダルが了承するのなら、レイ・ザ・バレルをシャドウミラーの技術を使い、治療すると約束しよう」
「あり…が……これで…自由……」
感謝の言葉を最後まで言う事無くクルーゼの命はこの世から消滅した。
「せめて、幸福な来世であらん事を」
軽く祈り、機体をその場で反転する。アイリーン・カナーバからの広域通信から結構時間が経っている。先に戻ったムウから、俺がクルーゼと戦っている事を聞いてはいても、心配しているだろう。
プロヴィデンスのコックピットブロックと動力炉である核エンジンの爆発を背に、俺は
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