第二部まつりごとの季節
第三十九話 近衛衆兵鉄虎第五〇一大隊編成に関する諸事情について
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思い当たりますのは近衛衆兵鉄虎第501大隊のみです。
あの派手な入れ替えももうすぐ終わりましょう、その前ならば間に合うのではないでしょうか?」
「うむ・・・・・・確かに、あの大隊の人務は随分と混乱を招いているらしいな。
――いっその事利用するのも手か?」
「面倒は詰め込んで蓋をしましょう。それが役立つのならば例え、劇薬になっても構いませんでしょう?」
二人はにたり、と笑みを交わした。
―戦時の軍隊としては横暴なまでに将校入れ替えを赦されているのだ、この程度の無茶は聞いてしかるべきである!何事も特権には面倒がもれなく憑いてくるものである。騎兵と云う特権に面倒を並べて奴に送り付けても文句は言うことは許されまい!
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六月四日 午前第十刻 大隊本部官舎 大隊長室
近衛衆兵鉄虎第五〇一大隊 大隊長 新城直衛少佐
――また面倒を俺に押し付けるのか、あの野郎。畜生、アイツは面倒にはしっかりと俺が欲しい対価を持ってくるから始末に負えないのだ。
「――と、まぁ経緯は。これに多分詳しく書いてあります」
情報幕僚の手から手紙を受取った新城は獲物の痕跡を探る剣牙虎のように唸りながらその文面に目を通す。
馬堂中佐からの手紙には簡単な挨拶と益山中尉が語った通りの騎兵中隊達の経緯と現状を簡単に書いてあった。
“――其方は導術兵の数も少なく捜索部隊の編成に苦労していると聞いている。
きっと貴官ならば役立てられるだろう思う。二十日までに返事を駒州軍参謀部の益満閣下までに書状を送られたし。
追伸
この話を持ちかけてきたのは益満大佐殿だ。
信用してくれて構わないがこの話は面倒が多いのでこの話題に関しては導術連絡を使わないでくれ。誰かに傍受され、騎兵のことを追及されても責任はとれない。
それでは坂東殿にも宜しく伝えてくれ。“
と書かれていた。
「噂をすれば何とやら、ですな。話が旨すぎる気もしますが」
藤森が文面を睨みつけながらそう言い、視線の先を大隊へとに向けた。
「だが、裏がある事も分っている。怪しげな部隊に面倒を押しつけたいだけだろう」
――問題は信用出来るか、か。益満大佐は碌な付き合いがなかったが悪い評判はあまり聞かない。けして僕を好いてはいないが、豊久が仲介している以上、問題はないだろう。
「押し付けられるとしても活用せねばなりませんな。また訓練幕僚に訓練計画の組み直しをさせねばなりません」
「暫くは誰もかれも苦労するしかない。今は戦争までの一寸一点が宝玉よりも価値があるのだ、少なくとも僕達はそれを自覚しなければならない」
同日 午後第五刻 大隊本部官舎
近衛衆兵鉄虎第五〇一大隊 大隊情報幕僚 益山隆一中尉
「また面倒な事になりましたねぇ。我が大隊は複雑怪奇って見ている
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