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或る皇国将校の回想録
第二部まつりごとの季節
第三十九話 近衛衆兵鉄虎第五〇一大隊編成に関する諸事情について
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騎兵も論外ですから――いっその事、水軍の陸兵隊にでも打診してみますか?」
 豊久は軍監本部や兵部省に伝手を持っているがそもそもは砲兵将校であり、他の兵科にはそれ程顔は広くない。
 ――最近、俺が砲兵将校だと忘れられているような気がするケド。
「――陸兵隊に騎兵はあるのか?」
「・・・・・・・・多分」
そっと目を逸らした弟分に益満大佐はため息をついた。
「最悪、頼み込んで後備部隊の増強として編入させるしかないか」
「まぁ、そもそも幾ら戦時と云えどホイホイ将校ごと中隊規模で将兵が出入りするような変態人事やるような輩は――――あ」
「・・・・・・」
興味深そうに益満大佐が視線をよこすのを余所に、豊久は脳内で凄まじい勢いで算盤を弾く。
 ――いや、待て待て。 確かに新城のところに送り込むのは簡単だ。騎兵絡みの面倒を誤魔化すのも新城が残した幕僚陣ならば上手くやるだろうが――、

「おいおい、奇声をあげるのならば責任を持ってくれ。」

「あ、あぁ申し訳ありません――その、心当たりはなくはないのですが。」

 ――捜索剣虎兵中隊を増設したがっているらしいから騎兵で代用出来るとしたら受け入れる筈だ。俺みたいに剣虎兵が居るからと騎兵を避けると云うやり方はしないだろう。近衛禁士の部隊と協同出来るとも思えないし、な。禁士隊故に将校の比率も直衛の求める比率に近い、紛れ込ませても問題ないだろうが―――さて問題は中隊の将校連とこの昌紀さんだな。
 
「新城少佐――御育預殿の大隊です。あの大隊はいまだに将校の出入りが激しい、上手くすれば紛れ込ませる事は可能だと思います」
慎重な口調で初手を打つ。
 ――彼方此方で持て余された能力のある問題児の将校達が奴の下で可哀相な事になっているらしい。益山も苦労しているみたいだが、まぁ、恨むのならば堂賀閣下を恨んでもらおう。
情報課は――いや、軍隊というものは何時だって人手不足なのだからこの御時世じゃ誰も彼も苦労してもらわなければ不公平に過ぎる。

「あぁ、例の五〇一大隊か――どうも彼は好かん。苦労している事は知っているが――その、色々と良くない噂も聞いているのでな」と益満大佐は珍しく口を濁した。

 ――確かにお世辞にも奴は人格者ではないからな。駒州の重臣団でも特に若手の面々には兵理研究会にも呼ばれない程度に嫌われている。

「まぁ、生い立ちも環境も違えば性根も変わりますからね。
あぁなったのは周りの扱いと持って生まれたモノの兼ね合いだと思いますがね」
 ――直衛は他人と――特に将家の産まれの者達と関係を築く事が少ない。
互いに抱いているモノも、立っている所も見えているものも違うのだから近づくのは難しいのかもしれない。どちらが悪いとは言わない、それはそうしたものなのだ。

「大佐殿、私に
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