第二部まつりごとの季節
第三十九話 近衛衆兵鉄虎第五〇一大隊編成に関する諸事情について
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った仲である部下達を見捨てる事を好まず。陸軍の伝手を探したのだが都護は空きがなく、龍州――事実上の最前線送りと云うのも後味が悪い。ならば騎兵の雄にして自分の本拠地である駒州鎮台ならば、と益満大佐は父を頼りに司令部を訪れ、そして益満参謀長閣下は新編聯隊の聯隊長である馬堂中佐に丁重に盥を回したのである。参謀長マジ軍官僚。
――思えばこの前、桜契社で飯を食った時にも何やら悩んでいたがどうやらこの件の事だったのか。
と納得しながらも豊久自身も始末に負えぬ、と細巻を楽しみながら紫煙が向かう天井を見つめる。
――色々と私生活でも世話になっている人だし、力になる事は吝かではないのだが。俺の肩書きには聯隊長がくっついている、つまりは俺が独立混成第十四聯隊の責任者である事を意味するのだ。
「あいにくですが、これ以上、新編部隊を受け入れるのは手間ですし、騎兵中隊を受け入れると、四千を超えてしまいます。それでは完全に旅団規模です」
個人的にもこれ以上面倒な要素を引き込みかねない上に、剣虎兵とは噛み合わせが悪く、戦地での使いどころは極めて難しい。ならば公私の両面で引き受ける理由はないだろう、と豊久は結論を既に下している。
――そもそも今の所は順調と云えども、訓練計画に余裕はない、我が部隊の要である他兵科との共同訓練にかかるには後十日はかかる。〈帝国〉軍が何時来るか分らない以上、自ら進んで引き受ける事は出来ないな。
せめて当てでもあれば、と豊久は尋ねる。
「――駒州騎兵聯隊はどうなのですか?それ程の練度を持つのならば受け入れて下さるのではありませんか?」
先述の通り、近衛から陸軍に戻る者も珍しくはない。益満の名を使えばゴリ押し出来そうだが――
「御家騒動の末追われたとしても、守原の陪臣の家だ。
騎兵将校は将家の者が多いからな、出来れば不要な軋轢避けたいところだ。
他の将家も面倒を嫌って受け入れようとはせん」
――うぅむ。気持ちは分かる、というか一介の陪臣――の跡継ぎである俺も同じくそんな爆弾を抱るつもりは毛頭ない。馬堂も微妙な立ち位置であるし、アカラサマに出る杭だ。これ以上、周囲に変な勘繰りをされたくない。引受先を探す協力はしても引き受ける理由は零どころかマイナスだ。
「鎮台をまたいだ異動ももう大規模なものは終了している。中隊を丸ごと受け入れるのはそれこそ新編部隊か後備でもない限りは難しいだろうな」
と益満大佐は頭を抱えた。
「ですから、新編部隊だからと云って早々管理に手間がかかる兵科を、それも将校丸ごと受け入れる様な部隊なんて――」と豊久もゆっくりと首を振る
「だからこそ貴様を呼びつけたのだがな。せめて心当たりはないか?」
「そう言われましても、将家筋に問題があるとなると既存の部隊は厳しいですよね。
ですが衆兵に
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