毒人形と楽園の素敵な巫女
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もなくなった二人は部屋から出ていく。時刻はもう夕刻。茜色の日差しが霊夢たちを照らす。
「もう帰るよ。じゃあね、迷惑かけて悪かったわ」
「全くよ。もう来ないでね」
しっし、と手で払うようにする霊夢の姿にこの人間の態度は変わらないな、とメディスンは苦笑する。
「お酒を飲むことになったら呼んでくれると嬉しいわ。どんな味か気になるもの」
「飲めるの? 人形なのに」
「飲めない、と言った覚えはないわ。頼んだわよ」
そう言ってメディスンはその小さな足を動かし、霊夢に背を向け去っていく。その背に霊夢の声が聞こえる。
「さっきはああ言ったけど、お賽銭を持ってきてくれるなら歓迎するわよ。暇ならお金持って来なさい。相手してあげる」
「……覚えておくわ」
それが、本当に最後の会話。
メディスンは自分の居場所に向かい、振り返らず歩いて行った。
その身に、微かなお酒の匂いを宿して。
いつかの日までこの匂いが残るよう、そう祈って。
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