第八十五話 絶対に優勝してやらぁっ!!
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りに札を手に取った。
闘悟のは…………Sと書いてあった。
ほんの少し……泣けてきた。
どうしてこう最後の番号になるのだろう。
ところで、誰がパートナーになるのかとキョロキョロと周囲を見回す。
見れば他の者も相方を探しているみたいだ。
仕方無い、聞いてみるか。
「Sを持ってるの誰だ?」
少し声を張って探してみる。
すると、ザッと足音を立てて闘悟の目の前に誰かが現れた。
闘悟はその人物を確認する。
そこにはフルフェイスの兜と鎧を着用した人物がいた。
あ、コイツってば……。
闘悟は今日の第十七回戦で闘っていた人物のことを思い出していた。
見た目にそぐわぬ俊敏な動きと、洗練された魔法で勝利を手にした。
名前は確かスレンだ。
どうやら女性のようだ。
「えっと……アンタが……パートナー?」
するとスレンは無言で頷く。
「あ、そうなんだ……」
「…………」
くっ! 間がもたん!
何でコイツ喋らねえの!
だがスレンがパートナーなのは事実だ。
闘悟は小さく溜め息を吐いて手を出す。
「と、とにかくよろしくな」
スレンは闘悟の手をしばらく見つめた後、そっと手を繋ぎ握手をする。
そこは無視されないで本当に良かったと心から思った。
「お、トーゴも相方見つかったみてえだな」
機嫌良さそうに笑いながらこちらに声を掛けてきたのはカイバだった。
「お前は誰とだ?」
「ふふん、お前には自慢にはならねえけど、俺には自慢になる相手だ!」
「いいからさっさと言えよ」
「『土波(つちなみ)』のヤーヴァスさんだ!」
「へぇ、クジ運いいじゃねえか」
ヤーヴァスは間違いなく今大会注目株の一人だ。
優勝候補と言っても間違いではない。
「だろだろ? いや〜俺さぁ、まさかここまで来れるとは思ってなかったんだよなぁ。だけどさ、この面子(めんつ)見ろよ! この中に俺みたいなDランクがいるんだぜ! 信じられねえけど、嬉しいんだよな!」
本当に嬉しそうに笑う。
確かにこの大会に勝ち抜いてきている者は、ギルドランク上位者がほとんどだ。
Dランクでこの場にいるのはカイバだけだ。
幸運と言えば幸運だが、運も実力の内なのだ。
カイバは強運に恵まれた体質を持っているのかもしれない。
「ヨッチも喜んでくれっかなぁ!」
「ヨッチ? 誰だ?」
「ん? あ、そういや言ってなかったっけ? 俺の妹だよ」
「へぇ、お前に妹がいたとはな」
つうことは完全ネコミミ女子ということか……?
闘悟は少し興味が惹かれた。
「ほれ! あそこ見てみ?」
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