第11話
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とが難しい。 斬りつけるたびに光子が分散してしまいソードが小さくなっていく上に、威力も低い。 そんなモノを作るなら、出力の高いビームライフルを作る、もしくは普通にブレードを作った方が有効なのである。 しかし、風音のそれは、それほどエネルギーを消費しているようには見えない。 さまざまな廃スペック技術をつぎ込まれた風音の機体がみせた、ハイスペック技術なのである。
「行きますわ!!」
様々な現行のISを超える驚異のテクノロジーを見せられたが、それでも自身の勝ちのために動くセシリア。
急旋回し、風音にレーザーライフルの照準を合わせる。
「さぁ、夢幻に沈みましょう」
小さい、けれども観客席の隅々にまで響く声で呟かれた一言と共に、セシリアの目の前で スゥッ っと、風音の姿が消える。
「なッ!! どこに!?」
「幻を追うことはかなわないよ」
ザンッ!!
「くぅ!!」
ハイパーセンサーが感知できないほどの速度で、背後に現れた風音がすれ違いざまにセシリアを斬りつける。 ビームソードの一撃により、少々のダメージを受けたが、戦闘に支障が出るレベルではなかった。 エネルギー効率は改善してあっても威力の方までは改善されていないようであった。
斬られた驚きで固まっていたセシリアだが、急いで通り過ぎた先を確認。 が、セシリアがとらえたのは、またもや スゥッ っと消えていく風音の後ろ姿だけであった。
ザンッ!!
ズバッ!!
右から、左からと、縦横無尽に現れてはセシリアを斬りつけて消えていく風音。
何度も繰り返されるその攻撃はどんどん現れる間隔が短くなっていく。
「うそ……」
そう呟いたのは誰であったのか。 観客席に小さくないざわめきが広がる。
それもそのはず、現在セシリアを囲む風音の数は十を超えている。 同時に複数の同じ人間が存在するなど、それこそ漫画や空想の世界の出来事でしかありえない。
まさに夢幻。
最早、幻か、実体か、夢か、現実か、観客たちにも区別がつかなくなってきていた。
十を超える風音のあまりの手数の多さに捕らえられ、空中に固定されたセシリア。 セシリアを中心として、幾何学的に飛び回り、周りを漂う風音の影。 その光景は何やら魔法陣を連想させる配置であった。 いや、観客たちにははっきりと魔法陣が見えていた。
空中に風音という染料を用いて描かれる魔法陣。 生贄に捧げられたセシリアは魔法陣に囚われている。 複数の風音による斬撃での固定は既に終了しているにも関わらず、魔法陣自体が強烈な引力をもつかのようにセシリアを捕らえて放さない。
その光景は、恐ろしくもあり、美しくもあった。
「きれい……」
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