第二十七話 江田島その六
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「あるのよ」
「っていいますと」
「それは」
「お風呂に入ったら絶対に髪の毛洗いますけれど」
「そうしないって」
「だから。一人で入らない時代よ」
宇野先輩は笑って言う。
「その時よ」
「えっ、今皆で入ってますよ」
「けれど洗いますよね」
「どういう時かっていうとね」
ここで宇野先輩は詳しく話した、それはというと。
「ほら、女の子だけで入るのじゃなくて」
「まさか男の子とですか」
「一緒に入る時ですか」
「その時は身体は洗うけれどね」
だが髪の毛はというと。
「洗わないのよ」
「それどうしてなんですか?」
「髪の毛も洗った方が清潔なんじゃ」
「だって。髪の毛洗ったらそれにもね」
それに加えてだった。
「乾かすのにも時間がかかるじゃない」
「?どういうことですか?」
琴乃は先輩の笑みを浮かべての言葉に首を傾げさせて問い返した。
「あの、それって」
「だから。早いうちにベッドに入って」
「その時間の分ってこと・・・・・・ですか?」
「そうよ」
ここで何故かわかった、宇野先輩はこのことをにこりと笑って話したのだ。
「そういうことなの」
「あの、じゃあ宇野先輩ってまさか」
「彼氏いるわよ」
はっきりと答えたのだった、ここで。
「それに経験済みだから」
「ですか、もうなんですか」
「そうなの。誰かはあえて言わないけれど」
名前は伏せる、それでもだった。
「同級生の子なの」
「その人となんですか」
「そう、経験済みよ」
まさにそうだというのだ。
「高一の冬休み前ね」
「早いですね」
「私もよ」
高見先輩もここで言って来た、宇野先輩と同じくにこりとしてそのうえで琴乃達五人に話すのである、そのことを。
「彼氏いてね」
「それで髪の毛もですか」
「洗わないんですか」
「その時はね」
彼氏と一緒の時はだというのだ。
「洗わないわよ」
「そうなんですか」
「時間かかるからね」
洗って乾かす、それにだった。
「しかも髪の毛洗ったらどうしても顔も濡れるわよね」
「はい」
景子が答える。当然ここにいる面々は化粧を落としている。
「もうそれは」
「そう、メイクが落ちるから」
だからだというのだ。
「余計にね」
「髪の毛は洗わないんですか」
「身体は綺麗にしないといけないけれど」
だが時間やメイクのことを考えてだというのだ。
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