Episode13:戦闘、無頭竜
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の注意が割かれた。その隙を修哉が逃すはずもなく、背後に接近し、振り上げたナイフを右肩口めがけて振り下ろした。
「っ!」
だが隼人はそれに感づいて、肩へ降りてくるナイフを見て目を細めた。変化は一瞬。修哉の視界に亀裂が走ったと思った瞬間には、彼の手にナイフはなかった。
「…っ、セアッ!」
今まで自分が握っていたナイフが突然消えたことに驚愕していた修哉に、右目を手で押さえた隼人の蹴りが着弾して吹き飛ばした。
「ハァ…ハァ……くっ、やっぱり消耗が凄いな…!」
そうぼやいて、隼人は地面に膝をついた。
先ほど隼人がナイフを消した魔法は、先日ブランシュの工作部隊を消し去った魔法『消失』によるもの。だが、前回のは大規模で力加減する必要はなかったのだが、今回の目的はナイフのみを消すこと。故に、前回よりも繊細な出力制御が要求された。
消失を隼人がなんの制御も考えずに使用していれば、恐らく修哉ごと背後の建物の存在が無かったことにされていただろう。だが、それはやってはならないことだ。また、ある程度の制御では、建物の消滅は防げても、修哉の消滅は免れなかっただろう。しかしそれも、今やるわけにはいかなくなった。だから必然的に、隼人は最大制御出力で魔法を行使しなければならなかった。そしてそれには、多大な精神力と体力を必要とした。
「ハァ…にしても、俺を狙って来るなんてね」
そう気怠気に呟いて、立ち上がったフーデッドローブの敵を睨む隼人には、明らかな疲労が浮かんでいた。
今回は最初から体調が優れていないのもあいまって、コンディションは最悪の状態だ。
「フン…流石だな。その力があれば、混迷した世界を動かすことなど簡単なのだが」
ダメージを負っているにも関わらず、それをおくびにも出さない修哉にため息をつく。
「いつからアンタらはそんな宗教思想になったんだい?それに、俺が世界を動かそうとこの力を使えば、待っているのは破滅だけさ」
だからこそ、アンタらに協力などするわけにはいかない。そう言外に呟いて、隼人は再び拳を構えた。
「そうか。ならば、全力で奪うのみだ」
「……負けられない!」
再び激突し合う拳と小型のナイフ。だが、隼人に先程までのキレはなく、徐々に押されてきていた。
「ふっ!」
短い呼気で踏み込んで、そしてインパクトの瞬間に全身の筋肉を連動させ、打ち込む。型通りの完璧な正拳突き。
だが疲労で筋力の落ちた状態で繰り出されたそれは、格闘術を一通り齧っている修哉にとっては、素人同然のように見えた。
「ガッ…!」
一瞬の隙を突いた修哉の回し蹴りが隼人の鳩尾に着弾した。
たたら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ