『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.04
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、天井に、至る所に刻まれた奇怪で面妖な無数の文字群。
次に視界が捉えたのは部屋の中央、そこに描かれた巨大な円陣。 おそらくは魔方陣。
なるほど、確かに。 ここはオカルト研究部で間違いないのだろう。
「驚いたかい?」
「……え? ……いや、まあ、少し。 思ってた以上にオカルトっぽいっていうか……」
「まあ、そうだね。 普通の人はだいたいそんな反応をすると思うよ」
かけられた声、木場の言葉にいくらか落ち着きを取り戻す。
異質な文字群を無視して部屋を見渡せば、そこには一人。
見るからにふかふかなソファの上に、ちょこんと座り、黙々と切り分けられた羊羹を齧る小柄な少女。
塔城小猫。 小柄な体格の駒王学園一年生。 もちろん貧乳。
「……?」
ふと、俺の存在に気付いたらしい小猫ちゃんと視線が合う。
その表情はいかにも眠たげで、いまいち感情が読み取れない。
「その……どうも、兵藤一誠です」
俺の挨拶に無言でお辞儀だけを返す小猫ちゃん。
それだけすると、再び彼女は羊羹を齧りだした。
「えーと。 ……俺、もしかしてあまり歓迎されてない?」
「そんなことはないさ。 少なくとも、ボクは君を歓迎するよ」
声、俺のよく知るあの人の。
振り向くと、そこにはやはり桐原先輩の姿があった。
「ようこそイッセー君。 さあ、お茶とお菓子を用意したからまずはくつろいでくれないかい?」
カチャリと静かな音をたて、テーブルの上に琥珀色を湛えたティーカップと羊羹の乗せられた皿が置かれる。
それにあわせて、俺は柔らかなソファの上に腰を沈めた。
「その、桐原先輩」
「うん? もしかして甘いものは嫌いだったかな?」
「いえ、そうじゃなくって。 リアス先輩はいないんですか?」
「ああ、部長かい? 彼女なら、ほら、あそこだよ」
桐原先輩の指先の示す向こうで、薄いカーテンが揺れていた。
聞こえる、耳を澄ませば水の音が。 もしかして、あの向こうは……。
「……シャワー?」
「正解。 まあ、すぐに出てくるよ」
カーテンに浮かんだ影、明らかに女性と分かる艶やかなその姿。
思い出すのは、今朝の出来事。 生まれて初めて見た女性の裸体。
「……いやらしい」
呟く声にハッとして、俺は表情を覆い隠す。
もしかしなくてもエッチな気持ちが顔に出ていたのだろうか?
見れば、あからさまに侮蔑を込めて小猫ちゃんが俺を見ていた。
「ははは、いやらしいか。 だけどね小猫ちゃん、男の子は誰だっていやらしいことをしたいんだよ」
「……そうなんですか?」
「いや、僕に聞かれても困るんだけど……」
そのとき、きゅっと蛇口を捻る音が室内に反響した。
鳴り止んだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ