第181話
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殴っただけだ。」
ただ一言、簡潔にそう告げた。
「行け。
出来る限り遠く逃げろ。」
麻生が告げたのと同時に、複数のショットガンの銃口が向けられた。
同じ学園都市の人間のはずなのに、銃口を向けてくるあたり、アビニョンにいる者全員、所属など関係なく攻撃対象に設定されているのだ。
しかし、相手は森羅万象に干渉し、あらゆる物を創る事ができる能力者。
たかが空砲くらいでは傷一つ付ける事はできない。
能力で空砲を全て打ち消し。
「悪いが時間がない。
さっさと決める。」
手には木で作られた和弓と鉄の矢が地面に刺さっていた。
矢の数は九。
視界に入る駆動鎧と同じ数。
能力で九本全てを弓に装填し、狙いを定める。
狙う箇所は一点。
駆動鎧を関節駆動させるに必要な電力を発生させる核。
既に眼を変化させ、駆動鎧の構造は把握している。
核となる装置は背面の中央に設置してある。
駆動鎧達はどうやって弓と矢を出現させたのか分からないが、鉄の矢では駆動鎧の装甲に弾かれる。
だからだろうか、銃口を向けたままその場で麻生を観察している。
限界まで弓を引き絞り、ニヤリと不敵な笑みを浮かべ手を離す。
九本の矢は同時に放たれ、直線ではなく蛇のようなでたらめ軌道を描く。
それぞれの矢は最後に九体の駆動鎧の装甲を貫き、電力を発生させる核を破壊する。
瞬間、駆動鎧の関節は固定され、動かなくなった。
表情は見えないが、驚愕の表情を浮かべているに違いない。
矢が不規則な動きと装甲を貫通したのは能力のおかげだ。
眼を元に戻し、一番近くにいる駆動鎧の『顔』の部分を軽く叩く。
「んじゃあな。
暴動は動かないのを見ると攻撃してくるぞ。
早くしないと大変な事になるな。」
息を呑むような声と共に、ガキガキという音が聞こえた。
助けるようなことはせずに麻生は上空を見る。
ステルス機から何十の駆動鎧が降下してくるのが見える。
ステルス機とは別に気球のような黒いバルーンが何十も浮かんでいる。
眼を変え、中を確認すると人が入っていた。
狭いアビニョンの中を闊歩する暴徒達は作戦に支障をきたす。
C文書を持った敵は暴徒に紛れて逃げ出す可能性もある。
よって、まずは暴徒を黙らせて上で本命を叩こう、と。
(学園都市の狙いは俺達と同じ、C文書か。
どこでこの情報を仕入れたかは知らないが、面倒な事態になってきたな。)
この騒ぎを聞きつけて、おそらく魔術師はアビニョンを出ようとするはずだ。
逃げられれば二度とC文書は奪還できない。
学園
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