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なのは一途のはずがどうしてこうなった?
第二十章 期待の新人
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「ティアナそろそろ……」

胸に顔を埋めてかれこれ5分程度たったのだが、未だに泣いているのだろうか。

「イヤです……」
「お前、もう泣いてないだろ」

森の中で慰めるのもいいが、きちんと落ち着いた場所で話し合いをしたい。

「泣いてます。心で」
「うまいこと言って誤魔化そうとしてるだろ」

気付きたくなかった。
だが、薄々は気づき始めていた。
無意識下で気付かないようにしていたのだろう。
そう、機動六課のメンバーは実は、外道なのではと気付いてしまった。
いや、ティアナに気付かされた。
少なくともコイツは外道だ。

「いいじゃないですか。少しくらい……。届かない想人の胸で泣くって。ヒロインみたいで」
「俺は、なのはと結婚を前提に付き合ってるんだが」

なのはのご両親挨拶した後で、早々に恋人以外と関係を持つつもりは無い。
いや、元々なのは一途なのだ。

「それでも。私を慰めてくれてるじゃないですか。私の事、嫌いですか?」
「好き嫌いの問題じゃないだろ。慰めるのは、上官としての義務だ」
「冷たいのね。でも、嫌いじゃないわ……」

何だろう。この三文芝居は。
いい加減ティアナも落ち着いただろう。

「離せ。そもそも失敗した原因は、現場で努力したことだろう。初めての任務の時に努力するなって言ったの忘れたとは言わせないぞ」
「……」

やっと離れたか。

「それでも、私が凡人なのは変わらないじゃないですか……。スバルは! 潜在能力と可能性の塊。エリオとキャロは! あの歳でBランクでキャロはレアスキルもち。他の人だってエリートばかりで! 凡人なのは私だけじゃないですか!」

不安と羨望か。
若い魔道師にありがちな力への渇望。

「……。ティアナ勝負しようか」
「ハァ?!」

魔弾を2つ出す。配置先は50メートル先。

「お互いにアレを撃ち落とす。んで、互いに落としたらプラス10メートル」

まずは、一つ。
俺が先行する。
ティアナも続いて落とした。

「まあ、ソレくらい楽勝だよな」

次。60メートル。
次。70メートル。
次。80メートル。
次。90メートル。

「お、当たったか」
「……」

次。100メートル。
魔弾は一つ残して俺の狙いは外れる。

「と、まあ、お前は俺に勝ったわけだ」
「それがどうしたっていうんですか?」

気付かないか。

「ティアナ。お前が機動六課に入る前の最長射程距離は?」
「あ……」

データでは80メートル前後。
けど今はプラス20メートルされた数値だ。

「訓練は地道な基礎と基本の繰り返しで退屈かもしれないけど。着実に成長してるんだ」
「はい……。はい!」

泣く。

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