ALO編
episode5 旅路、影妖精領3
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この魔法の世界アルヴヘイムにおいて、ぶっちゃけ大半のスキルは魔法によって補完、代替が出来るようになっており…それは『隠蔽(こっちでは「隠密行動」、だったか?)』、『索敵』も例外ではない。それぞれ効率的な魔法が用意されており、こっちがどんなに頑張って隠れても(或いは探しても)あっさりとその上をいかれれてしまう。
まったく、やれやれだと言わざるを得ない。
(ま、だからといってしないって訳にもいかないんだがな……)
息を潜めて覗く先は、重厚な岩で作り上げられた洞穴の様な遺跡がいくつもの口をぽっかりと開けている。その様はいかにもゲームの「ダンジョン」……それも昔懐かしい古代迷宮、さもなければ不思議のダンジョンといった趣だ。
―――スプリガン領内上級ダンジョン、『古代獣の封印迷宮』。
情報サイトによればスプリガン領内ではかなりの難易度だが、邪神級といったソロではどうにもならない敵の湧出は、流石に無いらしい。その分なかなかのレベルのモンスターが高い率で湧き出してくるため、索敵や隠蔽、そしてダンジョン内の三次元的な構造を上手く利用して魔法や射撃、取り囲みを防ぐ必要がある……云々。
まあ分かりやすく言えば、プレイヤースキルさえあれば、数値的熟練度関係なしのソロでもなんとか潜れるぎりぎりのレベルのダンジョン、というわけだ。つまりは、俺の戦いの練習には持ってこいだ。
(んじゃ、行くかね……)
周囲の壁を見やる。
(……ん?)
ふと、違和感を感じた。
唐突に、そこに一人のスプリガンが現れたからだ。
硬質の毛を持つ者が多いスプリガンには珍しい、流れるような黒髪を肩の下まで伸ばした男。大きな瞳にシャープな顔の輪郭、そして全体的に均衡のとれた体。……外見データがランダムのこの世界ではここまでの美男は珍しいといえるだろう。……いや、それはいい。ランダムだから、珍しくはあるが居ても不思議はない。
問題は。
(俺が、全く気付かなかった…?)
男は、何の変哲もない壁の……いや、どことなく重い雰囲気の壁の前でしばらく佇み、そのまま歩き去っていく。魔法で隠れていたのか? 俺の『索敵』はマスターだが、それでも魔法を使えば誤魔化す手段は多いから、ヤツも相当手練のメイジなのだろう。全く、あっちと違って困った世界だこって。
(……ま、だが、な……っ!?)
索敵の警告アラームが鳴ろうとする気配を感じて、咄嗟に横に跳ぶ。
「見つかるかねえっ、コレよっ!」
見つめていた男とは違う、……もっと直に、狼藉狙いと即座に理解できる出で立ちの集団。
まあ、流石にこいつらのように無策に襲いかかってくる連中くらいには
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