狂気のオタク文化
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の力を持つアザトースから生まれたナイアーラトテップは、旧神や旧支配者を含めても最高レベルの力を有している。天敵であり唯一恐れるものは火の精と位置づけられる旧支配者クトゥグアのみ。また、他に対立するのもノーデンスくらいという最強ぶりである。
しかし、それだけの力を与えられておきながら、この神格は、その力を直接振るうことは殆どない。
H・P・ラヴクラフトの短編『未知なるカダスを夢に求めて』では、簡単にひねり潰せるはずのランドルフ・カーターを騙して自滅に追いやろうとしたし、エジプトから来た高貴なファラオのごとき預言者、核兵器の研究を推進する物理学者、星の知恵派教団の神父(ナイ神父)、魔女を操る暗黒の男など、様々な姿で人間達の前に現れては、人の世に混乱と死をもたらす前触れとなるのだ。
☆☆☆
「ナイアーラトテップ・・・?どっかで聞いた響きだな・・・。」
護堂は、つい最近どこかで聞いたその名前に首を捻った。クシャミが出そうで出ない時のような、喉の奥に小骨が刺さったときのような不快感が彼を襲う。ここまで出かかっているのに、あと一歩の所で出てこない。
「別名も沢山あるわ。ナイアーラソテップ、ナイアルラトホテップ、ニャルラトホテプ、ニャルラトテップ何かが有名ね。アメリカの小説家の書いた小説が元になった、シェアード・ワールドから生まれた作品群。それに登場する邪神の一柱よ。」
その言葉に、護堂はモヤモヤが晴れた気分になった。両手をパンと打ち、笑顔でエリカ達に言う。
「成程、高木たちが面白いとか言って進めてきたアニメの元ネタか!確か、『這いよれ!ニャル子さん』とかいうラブコメだったな!」
『「!?」』
ところが、護堂の爆弾発言に二人は驚いてしまう。
「ちょ、ちょっと待って!ラブコメ?ラブコメって言ったかしら?え、正気?あのグチャグチャドロドロで人がゴミのように踏み潰される狂気の小説を、一体どうやったらラブコメに出来るというの・・・!?もしかして、既にSAN値がゼロになってるとか・・・!?」
『・・・流石、世界に轟く日本のオタク文化。『擬人化』なるものが流行っているとは聞いていたが、動物や茶器だけでは飽き足らず邪神にまで手を出していたのか・・・!【魔界】・・・もう一度行ってみる必要があるな・・・!!』
「ん?」
勿論、神話にもオタク文化にも縁のない護堂には、彼女たちが何に驚いているのかは分からず。
この混沌とした時間は、もう少しだけ続くのであった。
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