第9話 朝食
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いと言えば問題はないが、リクは、どこかフェイトを「保険」として扱っているような感じがして嫌なのだ。
「おはようございますフェイト隊長」
挨拶を返しながらリクは思う。
(まあ、フェイトに自分の気持ちを伝えておこうというのも自己満足に近いし、あえて傷つけるような事する必要もないか)
そう自分を無理矢理納得させ、朝食を続けるのだった。
◆
「な、なんなのよ…っ」
ティアナは自室に向かう道すがら、そう悪態を零す。
思い出すのはさっきの朝食での一件だ。
―――ティアナと仲良くなりたい。
そうなのはに言っていたリクの言葉を思い出す。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!」
それだけで自分の心臓はバクンバクンと鼓動を刻む。
顔は自分でも分かるくらい真っ赤になっているだろう。現にその言葉を聞いて、食堂を出て行くとき、同室のスバルに「ティア?顔赤いけど大丈夫?」と言われたのだから。
「なんでよ…っ!なんなのよ…っ!」
ティアナは無剣リクの事が嫌いだった。
その理由は単純、あの問題行為の件だった。他の、例えば上官に殴りかかったとかならば、何か特別な理由があったのでは、と考える事も出来たが、あの問題については議論の余地なくリクという男が最低な人間だと物語っている。
少なくとも女性関連は最低だ。
それが真面目なティアナには到底許容出来るものではなく、結果としてリクの事が嫌いだと、そう思っていた。
「………………」
しかし、それと同時に不思議な感情もあった。
今朝、リクに「おはよう」と言われた時、ドキッとしたのだ。ただの「おはよう」なのに、ティアナは今まで感じた事のない気持ちを感じた。
いや、それよりも前に、同じような事を感じた記憶があった。
「そうだ、アレはあの男が入隊してきた時…」
初めてリクの顔を見た時だ。その時もティアナの心は高鳴った。嫌いな奴を見たからだと納得させたティアナだったが、今思い出せばアレは少し違ったのではなにか。そんな考えが浮かんだ。
「ち、違うわっ!全然違う!あたしに限ってそんな事ないわよっ!!」
廊下で、誰もいない空間に向かって激しくツッコむティアナ。
―――ティアナと仲良くなりたいんだけど。
「……………」
顔を先程の何倍も真っ赤にしながらティアナは自室に向かって無言で歩き出す。
その時ティアナとすれ違ったシャマルが。
「嬉しさと悔しさと怒りがないまぜになったような表情をしていたわ」
と食堂にいた他の六課メンバーに楽しそうに話していた。
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