第弐話 《三人目》
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声を発した。
それもそうだろう。何故なら、シンの振るう拳でみるみる《アウリス》のHPバーが減少していくのだから。
そして《アウリス》のHPバーが黄色に点灯すると同時に《アウリス》は翼を広げて飛び上がった。
「……ゥゥウオォォアアアァァ!!」
異形そのものの雄叫びを響かせ、敵を怒りに燃える目で肉薄する。
「アレ、使うか。シキ、ちょっと離れてろ」
ウインドウを呼び出し、シキに警告する。
アイテムの欄を叩き、その中にあるアイテム《マロガレ》をオブジェクト化させた。
《マロガレ》は黒い小さな龍のような形をしていた。
そして、何とシンはそれを、躊躇なく口へと運んで、飲み込んだ。
ごくん、とシンが喉を鳴らし飲み込む。するとシンを中心に衝撃波が発生し、周りの木々が激しく揺れ、一瞬の内に周り一面に紫色のメッセージが表示される。
さながらその光景は、シンを中心に紫の花が開いたようだった。
「……行くぞ?」
両手を握ったり開いたりして調子を確かめた後、空に浮く《アウリス》と向かい合う。
「オオオォォウウアァァッ!!」
シンの声に応じるように、《アウリス》が叫ぶ。
《アウリス》が勢いを付けた突進を繰り出すと、
「……【暴れまくり】!」
シンは口の中で唱え、右手を《アウリス》へと突き出す。
右手からではなく、シンの周辺から打撃系のSEとエフェクトがあり、《アウリス》の全身を打ち付けた。
《アウリス》は空中で消滅し、ポリゴン片をばら撒いた。
降り注ぐ蒼い欠片の中に一枚の羽を確認し、それを掴む。それは《アウリスの羽》と表示され、シンはそれをメインウインドウへと格納した。
「シキ、拾っておけよ、それ」
シンは首をシキへと向け、シキの足元に落ちている羽を指す。
「あ、ああ。分かってる」
羽を拾い、メインウインドウに格納する。
「――――さて、シキ君? 訊きたいんだが、その娘誰?」
○●◎
「つまり、二体のアウリスと戦っていたのは君だったわけか。なるほどな」
《ソエリア》の宿まで戻った一行はクエストを終らせ(ちなみに貰ったアイテムはシルバーダガーという不死系のモンスターに大ダメージを与えられる武器だった)、事情を聞いていた。
「あ、自己紹介が遅れたな。俺はシキ、こっちのはシン」
「私はチルノ。それで、貴方達、変なスキル持ってるの?」
「まあな。って……え?」
テーブルに肘をつき、水を飲んでいたシキは思わずコップを落としそうになった。
「今、何て……?」
「だから、変なスキル。持ってるんでしょ?」
チルノは椅子の背もたれに背中を預け、静かな口調で、
「エンゲージ」
とハッキリと言った。
その直後、六本の剣が彼女の周りに現れた。
「……これが私のスキル《エンゲージ》。さっきの剣はこれが全部合わさっ
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