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ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
第弐話 《三人目》
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リス》と正面から対峙する。
「そいつ、頼めるか?」
シキの問いに、少女は「ええ!」と強張った声で応える。
「じゃあ三十秒だけ耐えてくれ。そしたら、俺の仲間が来る」
くるっと調子を確かめるようにダガーを回して、手に馴染むのを確認すると《アウリス》へと意識を集中させる。

      ○●◎

《アウリス》は強敵だ。
先の一撃を躱しただけでも充分にそれは理解できる。
だが。
「引くわけにはいかないよな。こんなのを二体なんてそりゃ残酷すぎる」
心中で苦笑し、表情は平静を保ったままで《アウリス》を睨む。
さっきちらりと見えたが、あの少女のHPバーが五割を切り、黄色へと変化していた。
シンが来るのを待つのでは遅すぎる。
こんな装備で《アウリス》の一撃を許せば、簡単にこの仮想体は消える。
あの少女はそんな状態で戦っていたのだ。加担せざるを得ないだろう。
「俺って甘ちゃんだな。まったく……」
口からそんな言葉が漏れた直後、《アウリス》の蹴りがシキに向けられた。
シキは左右にステップを踏み、蹴りを避けると線を狙い横薙ぎに一閃。
狙うのは胸の線ではなく、右の脚に斜めに書かれた線。
ザン、と簡単に右足が吹き飛び、《アウリス》のバランスが崩れた一瞬を狙い、胸元の線をなぞる。
「消えるがいい、異形。お前の末路は俺に殺されるが相応しい」
胸元と胴が分かたれた異形は叫びもせず、ばしゃっと無数の蒼いポリゴン片となり消えた。
正にその直後、もう一体の《アウリス》が少女の両手剣を弾き上げ、蹴りを叩き込もうとしていた。
「しまっ――――ッ!」
「ジャッ!」
シキの叫びに被さるように、勢いのある掛け声。それと同時《アウリス》の側頭部に飛び蹴りが突き刺さる。
「待たせたな」
少女と地に倒れ伏した《アウリス》の間に着地したシンは言って、シキに向く。
「……遅かったな」
「ヒーローは遅れて来るもんだろ?」
シンはおどけて、少女に目を向ける。
「危ないところだったな、君」
「あ、え……」
突然現れたシンへの返答に困っている少女に肩を竦め、首を鳴らす。
その直後。
突如二本の足で上がった《アウリス》が翼をシンへと叩き付けた。
シンは上から迫る二振りの断頭台(ギロチン)の刃めいた翼に対し、身を屈めてバックステップし、背で押すかたちで少女ごと下がる。
先程までシンと少女がいた場所に翼が突き刺さった。
「大丈夫か?」
「え、ええ」
少女の返答に頷くと、
「シキ、手を出すなよ」
シキに向けて言い放った。
「…………わかった。但しお前のHPが半分切ったら割って入るぞ」
シンの瞳の決意を感じ、仕方なく頷く。
シンは「了解」と頷き、《アウリス》が動くより早く懐に飛び込み、拳の連打を叩き込む。
「うわっ……!」
少女が感嘆の
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