第弐話 《三人目》
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かのモンスターとの遭遇。事件は起こった。
「ピギャアアアァァ!!」
パアァァン! と、リトルネペントの《実》がシキによって本体ごと両断された。
「……何だ、これは」
シンがあまりの異臭に鼻を摘んで言った。
「あ、これは不味いか……?」
彼らの名誉の為に言っておくと、彼らは《実つき》のリトルネペントに初めて遭遇し、シキはいつも通り《死線》を確認した。
今回は不運なことに、それが縦に走っていた為、馬鹿正直にシキは縦に両断してしまった。
結果。
周りにいたリトルネペント、計十三体が二人を取り囲んだ。
「ヒュウ……。やってくれたな、シキ」
「……悪かったよ。今回はマジで悪かった」
シキはダガーを逆手に構え、シンは構えないまま両手を握ったり開いたりしている。
「シャギャアアアア!!!」
そして、十三のリトルネペントが一斉に叫び、背中合わせになった二人に襲いかかった。
そこから先は、一方的だった。
ただの二人のプレイヤーが、十三のモンスターを圧倒していた。
シンが一体一体を引きつけ、シキが体力などお構いなしの《死線》への攻撃で確実にその数を減らしていく。
二人が戦い慣れているのではない、彼ら個々の能力と絶妙なコンビネーションによりリトルネペント達は苦戦を強いられた。
とは言え、結果は十三体が全滅、二人はほぼ無傷だった。
「……先を急ごうか」
「ああ、責任追及はこのクエストが終わってからたっぷりしてやるよ」
シンのジト目を受け流し、シキは鞘にダガーを仕舞った。
「日が昇る前には倒したいな」
ウインドウを出し、時間を確認する。
時刻は現在、午前12:32。
村の少女に教えられた限りでは、《アウリス》は日が出ている内は行動が活発になるのだという。
ならば、日が昇るまでに倒すまで、と意気込んだのは良かったものの、本当に日の出までに辿り着けるのだろうか。
「まぁ、やってみるしかないよな」
小さく呟いてシンと共に歩き出す。
彼らのレベルはこの時点で、既にシキは3、シンも同様に3となっている。
ポーションは片手で数える程度しか買っていない。
その原因の一因は所持コルにある。
何しろモンスターを何体倒しても、コルが殆ど手に入らないのだ。
近くにポップしたリトルネペントの線に無造作に斬撃を与え、爆散させる。
もう何度目かのダガーを後腰に仕舞う動作を行い、空を仰ぐ。
「どうして、茅場晶彦はこの世界を望んだんだろうな」
「……理想郷、ってモノが欲しかったんじゃないか? 彼は」
ふと思った呟きに、シンが応えた。
その返答にシキは「そうか?」と首を傾げた。
「茅場晶彦はあっちの世界でも充分に充実した生活を送っていたと思うが。それは理想郷と言わないのか?」
「シキの思う理想郷と、茅場晶彦の描く理想郷は違う。誰もが納得
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